和製コルドバが追いかける、赤き血のイレブン達。

浦和レッズと読了書籍についてマイペースに。

【書籍レビュー】「最初に読む一冊に最適」会社を潰すな!

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ここ最近、ビジネス小説にハマっている。

 

理由は、仕事で会社の業績について把握し、判断しなければならない部署に配属されたから。

 

まぁ実際は、今の部署に配属される前から把握してなければいけないんだろうけど…。

 

決算書の読み方とか、損益計算書・貸借対照表の見方とか、社会人の基本なんだろうし。

 

その点、ビジネス小説は登場人物=読者という構図で話が進むため、読者にとって読みやすいところが良いよね。

 

この小説においては、読者側の登場人物は、石川県金沢市の倒産寸前の赤字書店。

 

経営に無知な女社長と、県内に6つある店舗の店長が読者側の立場。

 

講師となるのは、銀行から出向してきた鏑木。

 

ストーリーとしては、鏑木が情熱をもって会社再建のために女社長・店長6名に対して前述の決算書他の読み方、マーケティング・リーダーシップ・マネジメントにおける大切な考え方等を根気強くレクチャー。

 

当初は彼に対して懐疑的で敵意を抱く人もいたが、鏑木の熱意、会社を本気で良くしたいという想いに感化され、いつしか全員が同じ方向を向けるようになり、最終的には各店舗の改善目途が立つ、というもの。

 

前述の決算書の読み方もさることながら、マーケティングにおける考え方は初耳であることが多かった。

 

モノを売る仕事の方々は、いつもこんな風にターゲットをどうするかとか、強みと弱みは何なのかとか、常に考え続けなければならないのだろうか。

 

だとしたらかなり大変だなぁ…。

 

当たり前だけど、競合他社も同じことを考えて顧客を獲得しようとするわけで、イタチごっこのようになるんだろうか。

 

決算書・貸借対照表・損益計算書については、社長の黒木相手に鏑木がレクチャーするが、サンプルが掲載されており、読者もそれを参照しながら読めるため、理解をしながら読み進めることができる。

 

それだけではなく、例えば光熱水費の節約方法についても、電力会社との契約に基づきデマンドにより決定されることを踏まえ、設定温度や開始時間を変更する。

 

約束の時間に早く着きすぎても、約束した時間5分前程度までは待機しておく。

 

などなど、基礎知識がふんだんに散りばめられているし、こういう小説を社会人当初から読んでおけばよかったなぁと。

 

まだ他のビジネス小説と読み比べたわけではないが、ビジネスマンの基礎知識がふんだんに盛り込まれているため、最初に読む一冊とも言えるのでは。

【書籍レビュー】「ジワジワくる怖さ」天使の囀り

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ホラー小説に定評のある、貴志祐介氏による作品。

 

同氏の作品である、クリムゾンの迷宮・黒い家においては、主に人により悲劇・惨劇が引き起こされている。

 

しかし本著においては、それが人為的に引き起こされたという側面はあるものの、ホラーの根源となるのは、恐ろしい寄生虫である。

 

簡単に言えば、ある寄生虫を人間に巣くわせると、その寄生虫は品減の脳神経を支配してしまう。

 

それにより、寄生された人間は、これまで恐怖に感じていたものを逆に快く感じるようになり、やがてそれは抗いきれぬものとなっていく。

 

そして皆、自殺に近い方法で死んでいってしまう。

 

主人公である早苗の恋人であった高梨は、元々死ぬことに対して非常に恐れを抱いていた、死恐怖症の特性を持ち合わせていた。

 

そんな彼も、寄生虫に身体を蝕まれた結果、多量の睡眠薬とアルコールを同時に摂取するという、自ら死を選んだような行動を起こして死亡。

 

動物恐怖症の学者は、サファリパークの虎に自ら近づき、襲われた。

 

先端恐怖症の主婦は、自宅の至る所にフォークやナイフ等を括り付けた挙句、目を包丁で突き刺した。

 

潔癖症の少女は、汚水とも言える水場において、汚物を身体に塗りながら入水死。

 

蜘蛛恐怖症の青年は、自宅の一室に夥しい数の蜘蛛を飼育した挙句、その蜘蛛を自ら食してしまうまでに変貌してしまった。

 

この寄生虫の目的は、寄生を続けながら繁殖すること。

 

動物相手であれば、恐怖に感じることと言えば、捕食者の接近に他ならない。

 

それを逆に快感としてしまえば、上記の学者の様に、自ら捕食者に近づき食べられてしまう。

 

そしてそれを通じて捕食者に寄生し、また同様に神経を乗っ取る。

 

だが人間の場合、恐怖する対象が死に至らないようなものである場合、最終形態と呼ばれる段階に移行していく。

 

例えば上記の蜘蛛恐怖症の青年は、蜘蛛を食しこそしたものの、死にはしなかった。

 

しかし、最終形態と呼ばれる段階は、もはや人間の原形を留めないほどに変貌してしまう。

 

サイレントヒルさながら、身体から腕が生えたり、頭部や胸部が異常に膨張したり。

 

そして、この段階になった人間に触れてしまうと、その部分が破裂し、大量の寄生虫が飛散。

 

早苗と劇中で恋仲となった依田も、これにより感染してしまい、最後は自らのマンションから身を投げた。

 

グロい表現もあり、読む際には注意が必要だが、寄生虫が人々に寄生し操り死に至らせるという、いわゆるジワジワくる怖さというものを感じた。

 

途中で繰り広げられている、寄生虫や神々に関する話はちょっと長いので中だるみするが、全体的には良くまとまっており面白かった。

【書籍レビュー】「後腐れのないハッピーエンド…ただ1世帯を除いては」同級生

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修文館高校三年の宮前由希子が交通事故死した。

 

彼女は同級生・西原壮一の子を身ごもっていた。

 

それを知った壮一は自分が父親だと周囲に告白し、疑問が残る事故の真相を探る。

 

事故当時、現場にいた女教師が浮上するが、彼女は教室で絞殺されてしまう。

 

著者のターニングポイントとなった傑作青春ミステリー。

 

-----------------------------------------以上あらすじ------------------------------------------

 

ミステリーであるが、実は珍しく誰も殺人は犯していないという作品。

 

被害者は主人公である西原の同級生である宮前と、教師の御崎。

 

プラス未遂という点では、同じく同級生の水村の3名。

 

その内、宮前は元々事故死ということが最初から判明している(ただし、彼女を追いかけた御崎および灰藤にその遠因がないとは言えない)。

 

そして、御崎および水村の2名については、当初は殺人という線で物語は展開するが、最終的に前者は自殺、後者は狂言ということで決着する。

 

ただ、今作においては、事件についての謎というよりも、他の部分についての謎の方が気になる方が多いと思う。

 

すなわち、「西原の妹が生まれつき虚弱体質なのはなぜなのか」「西原と水村の関係性はどうなのか」の2点について。

 

後者は物語の端々で両者が会話するものの、少々ぎこちない態度であるため、何かしらの関係はあるものだと思っていた。

 

また、西原と死亡した宮前についても、「交際していたということにする」との描写が当初からあるため、こちらは読み進めていくと薄々感じ取れると思うが、西原は水村と交際していた。

 

また、水村の父の会社が原因で自身の妹が虚弱体質となっていることが判明し、ようやくこれらが繋がる。

 

そして、それを知った西原は水村との交際を終わらせた。

 

だから会話がどことなくぎこちなかったんだね。

 

さて、最終的に宮前を間接的に死に追いやり、御崎を盾に保身を図った灰藤は罪を暴かれた。

 

西原は宮前を愛していたわけではなく、水村と交際していた真実を、親友の川合と楢崎に話し、双方から許しを得て、めでたしめでたし…なんだけど。

 

実は、1世帯だけ救いがない家族がいないか?

 

亡くなった宮前とそのご両親。

 

宮前は西原の一時の過ちで妊娠してしまった。

 

御崎に追いかけられたことで事故に遭ったという事実はあるが、交通事故時に出血多量だったのは妊娠が原因。

 

彼女の両親としても、真剣交際していた訳ではない同級生のせいで娘が死亡してしまったとなれば、浮かばれないだろう。

 

この世帯だけ最後まで救いがなくて可哀想…。

【書籍レビュー】「家族のために自分の時間を使うことが大切」ロボット・イン・ザ・ガーデン

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AIの開発が進み、家事や仕事に就くアンドロイドが日々モデルチェンジする近未来のイギリス南部の村。

 

弁護士として活躍する妻エイミーとは対照的に、親から譲り受けた家で漫然と過ごす34歳のベン。

 

そんな夫に妻は苛立ち夫婦は崩壊寸前。

 

ある朝、ベンは自宅の庭で壊れかけた旧型ロボットのタングを発見。

 

他のアンドロイドにはない「何か」をタングに感じたベンは、作り主を探そうと、アメリカへ。

 

中年ダメ男とぽんこつ男の子ロボットの珍道中が始まった…。

 

------------------------------------------以上あらすじ-----------------------------------------

 

この物語の肝は、何といってもタング。

 

タングは、高性能のアンドロイドがはびこる劇中においては、時代遅れとも捉えられかねない、いわゆる「昔ながらのロボット」。

 

ベンと出会った当初こそ、言葉も覚束ず、駄々をこね、空気を読まない、正しく幼稚園児の様な振る舞いを見せるが、タングの体内のシリンダーを直すために立ち上がったベンとの旅の中で、確実に成長していく。

 

言葉は流暢とまではいかないものの、それなりに意味の通る文章を話せるようになり、ある程度の分別を弁えるようになった。

 

さながら、自らが経験してきた子育てを彷彿とさせた。

 

また、タングは純粋な心しか持ち合わせていないようであり、何に対しても素直に表現をする。

 

ベンに対しては、「タング、ベン大好き」とストレートに愛情を表現するし、いやなことに対してははっきりと「やだ」と抵抗するし、自分の気に入ったものに対しては駄々をこねて買わせようとする。

 

それがまるで小さな子供の用で面白おかしく、ほっこりする。

 

本作のもう一つの見どころとしては、ベンの成長も挙げられる。

 

当初は、妻のエイミーのことをそもそもあまり理解しようとせず、離婚に至ってしまうが、タングと旅をするうちに、相手がどうすれば喜んでくれるのかを考えて行動できるようになり、最終的にも妻と再び共に住むようになった。

 

妻にも子供にも、何をしたら幸せに感じてもらえるか、理解してもらえるかを考えて行動すること、つまり家族のために自分の時間を使うことが円満の秘訣だ。

 

私の家庭が円満かはわからないが、個人的にはそう思っている。

【書籍レビュー】「久しぶりに身の毛がよだった」マーダーハウス

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今回はタイトルからして危険な香りがプンプンのこちら。

 

結論から言うと、ラストのホラー展開には久しぶりに身の毛がゾワッとよだったよ。

 

舞台は鎌倉。

 

新潟から上京した新大学生の主人公である理佐は、新居としてサニーハウスというシェアハウスに入居することを選択。

 

そこは、セレブの様な豪華な外見と設備、それにもかかわらず格安な賃料と破格の条件。

 

サニーハウスの住人達もイケメン・美女揃いであり、交通の便が悪いことを除けば、何不自由ないところであった。

 

しかし、同居人であった鈴木の死を皮切りに、同居人の死や卒業が発生。

 

また、部屋にいても誰かから見られている様な感覚を覚えたり、誰かが部屋に侵入した形跡があったり、快適な日々から段々と落ち着かない、陰を落とした日々となっていく。

 

理佐は、かつて故郷の新潟で親しい仲であった高瀬に相談。

 

高瀬も理佐の相談を受け、実際にサニーハウスまでやってきて真相を探る。

 

高瀬は不動産屋の実態がないことや、別荘としてこのサニーハウスを建てた老夫婦のことを調べ、真相まで近づくのだが…。

 

物語はバッドエンドであり、真相は掴めるものの犯人は罰を受けることなく、犯人以外の同居人は全員死を迎えてしまう。

 

ラストは例えるならば、「かまいたちの夜」や「そして誰もいなくなった」のように、閉鎖空間で互いに疑心暗鬼状態に陥ってしまい、主人公も同居人であるカズを殺害してしまう。

 

ホラーにはお決まりの、急な停電による恐怖もあり。

 

犯人であるヨーコの動機も正気のものとは思えず、過去に失ってしまった家族をサニーハウスで再現したかったため、ヨーコの意にそぐわない人物は殺害して排除し、新たな入居者を募ることで補充をしていた。

 

理佐はヨーコの騙し討ちを受けて殺害されてしまい、助けに来た高瀬も描写はないが、ヨーコの手にかかり殺害されてしまったものと思われる。

 

結果的にヨーコは、理佐が殺害してしまったカズ以外の6人を殺害。

 

理佐と高瀬も含めれば計8人を殺害。

 

エピローグで次の入居者を募集するため、サニーハウスの資料を作成しているところで幕を閉じる。

 

話は面白かったが、特にヨーコの犯行にはクエスチョンマークがつく部分多数。

 

鈴木を殺害した時は、部外者であるものの大学のトレーニングルームに無断で入り、「応援しに来た」で済ませているのは流石に怪しすぎる。

 

綿貫とエミを殺害した後の死体の処理にしても、シェハウス敷地内のプレハブ小屋に運んだようだが、果たしてハウス内で殺害後に、女性一人で大人2人の死体を、同居人に気がつかれずに果たして運べたのか。

 

羽佐間殺害時にも、わざわざ庭の木に自殺を装って吊るしているが、女性一人でできる芸当なのだろうか。

 

また、直前にはカズとヨーコはリビングで一緒に会話をしているし、羽佐間は自室に戻っていた。

 

いくらヨーコがマスターキーを所有していたからと言って、短時間で、カズや理佐に気がつかれずに羽佐間を殺害し、庭まで運んで吊るせたかと言われると疑問符はつく。

 

警察もサニーハウスのプレハブ小屋調べないんかい!

 

などなど、結構突っ込みどころは多いけど、ラストの怖さは中々のものだったので、個人的には満足。

【書籍レビュー】「プロサッカー選手という夢」フットボール風土記

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1991年に発足したJリーグも、今年で31年目を迎えている。

 

当初からJリーグに参画していたサッカークラブが、「オリジナル10」と呼ばれていることからわかるとおり、当初のチーム数は10。

 

そこから年数を経て、ワールドカップでは初出場・韓国との共同での主催・決勝トーナメント進出など、日本サッカーも進化を遂げた。

 

また、国内リーグにおいても、当初から大幅に変更されており、例えば当初は90分間で決着がつかなくても延長・PKまで行って勝敗をはっきりさせていた。

 

延長戦においても、どちらかのチームが相手ゴールのネットを揺らした時点で勝敗が決する「ゴールデンゴール」方式を採用していた(今はゴールが決まっても前後半15分ずつを戦う「シルバーゴール」方式)。

 

そして、Jリーグのクラブ数も、当初とは比較にならないくらいに増加した。

 

今や、トップはJ1からしたではJ3まであり、全国都道府県に当該カテゴリーにサッカークラブがないのは7県だけだ(福井県・滋賀県・三重県・和歌山県・奈良県・島根県・高知県)。

 

また、当該都道府県においても、J3リーグの下であるJFLやその下の地域リーグ、さらにその下の県リーグにサッカーチームはもちろん存在している。

 

そのチームが、今後Jリーグ入りを果たすことになれば、47都道府県全てにJリーグクラブが存在することになるかもしれない。

 

前置きが長くなったが、本著はJFL以下のチームが、何を目指してサッカーをしているのか、その真相に迫る書籍となっている。

 

何を目指してサッカーをしているのか、と言われると、当然将来のJリーグ入りを目指していると考えられがちだが、実際はそうではないチームも多い。

 

三菱水島FC(岡山県)においては、親会社である三菱自動車の都合(資金面・運用面)から、Jリーグ入りは目指していない。

 

本著での言及はないが、Honda FCは天皇杯でJ1クラブを打ち破るほどの強さを見せているものの、こちらも親会社の都合か、Jリーグ入りは表明していない。

 

Jリーグ加入のためには、観客動員数等の超えなければならないハードルも多く、一朝一夕で成るものではない。

 

そのため、親会社としては会社名を売る媒体があればよく、それがJリーグというプロのカテゴリーでなくても良いのだろう。

 

Jリーグのチーム名には企業名をつけてはならないという規則もあるようだし。

 

では、そいうったチームに所属する選手達は、何のためにサッカーをプレーしているのか。

 

もちろん、そういった契約で雇われている身であり、収入を得るために社業をサッカーを両立しているということはあるだろう。

 

ただそれ以上に、サッカーで上を目指したい選手にとっては、最大限上のカテゴリーでプレーできるチームがあるだけでありがたいのかもしれない。

 

最近は、下のカテゴリーで活躍したことで、上のカテゴリーのチームに引き抜かれる、「個人昇格」と呼ばれる事象が非常に多い。

 

そのため、アマチュアカテゴリーでプレーしていたとしても、そこで傑出したプレーを見せられれば、それがJリーグクラブのスカウトの目に留まり、オファーを貰える可能性はゼロではない。

 

その最たる例は、藤本憲明選手(神戸)だろう。

 

大学卒業後、JFLの佐川印刷SCでプレーしていたが、その後、鹿児島ユナイテッドFC(J3)⇒大分トリニータ(J2)⇒ヴィッセル神戸(J1)と、カテゴリーを右肩上がりにしてプレーしている。

 

現在JFLに所属しているチームでプレーしている選手にしても、同様に良いプレーを見せていれば、上のカテゴリーに「個人昇格」できる可能性は高い。

 

だがそれも、プレーできるチームがなければ実現はできない。

 

思うに、やはりそれだけ「プロサッカー選手」という言葉には夢があるのだと思う。

 

私も小学校低学年までは、浦和レッズの選手になりたいと夢見ていたし、サッカーを職業にするということには、それ自体に理屈では表現できない夢が詰まっていると思っている。

 

だから、例えアマチュアのカテゴリーであっても、上を目指してプレーする選手達には、最大限の尊敬と賛辞を贈りたい。

【書籍レビュー】「タイトルに隠された真実」氷菓

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米澤穂信氏といえば、「インシテミル」「ボトルネック」等で名を博している人気ミステリー作家。

 

今回は、書店の「人気作家デビュー作」コーナーに並んでいたこちら、氷菓の書籍レビュー。

 

今作は、至って普通の高校が舞台。

 

高校1年生の主人公、折木は高校生活につきものである勉学・スポーツ・色恋沙汰というものには特段、興味を示さない性格。

 

いわく、必要のないことはしないし、必要なことであれば手短に、という省エネ主義。

 

そんな折木は、姉からの手紙により勧められた古典部へ入部することになり、そこで同学年の千反田と出会ったところから、様々な謎に挑戦していくこととなる。

 

謎といっても、ミステリー小説に登場するような殺人事件といった重いものではない。

 

今作は普通の高校が舞台であり、日常的・身近な謎がメイン。

 

そのため、扉の鍵がかかっていた理由だとか、古典部の過去の文集の在処を突き止めるといったものが、当初折木が挑戦する謎となる。

 

普段は無味乾燥な生活を送り、特段何かに対して打ち込む姿勢を見せない折木だが、推理という面においては意外な活躍を見せる。

 

与えられた条件から、ひとつひとつの可能性を検証し、情報が足りない場合にはしっかりと裏を取る。

 

そのうえで、現実に最も近しいと考えられる結論を導き出すことができる。

 

そのため、謎に対して人一倍の興味は見せるものの、推理力に関しては今一つの千反田に引っ張られる形で、謎を解明する折木、という構図が成り立っている。

 

何となく読み飛ばしてしまうものだけど、推理に至るまでの描写には、しっかりと伏線が張られており、じっくり読んでいれば読者にも答えはわかるかも。

 

物語中盤からは、彼らが通う学園祭に文集を出展すること、また千反田には伯父の過去を知りたいという目的があり、その文集に千反田の伯父の過去が記載されていることから、文集に記載されている真実を解き明かす展開となっていく。

 

ここでも折木が持ち前の推理力を発揮して、限られた情報から、真相を導き出すのだが…。

 

彼らにとって、真相まで辿り着いたという点ではプラスだが、その真相は必ずしもハッピーではないという点ではマイナスだったのかもしれない。

 

実は、そのヒントは伯父が遺した文集のタイトル、「氷菓」に隠されている。

 

折木が作中で言っているように、確かに単なる言葉遊びなんだけど、真相を知ったうえで、この氷菓が意味することを知るとゾッとした。

 

ミステリーと言えば、ラストでどれだけ読者に衝撃を与えられるか、納得感を出せるかという点が重要だが、それをしっかりとクリアしており、デビュー作ながら非常に完成度が高い作品となっている。

【書籍レビュー】「彼を知り己を知らば、百戦して殆からず」仕事に効く!「孫子の兵法」

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孫子と言えば、世界史に疎い私でも聞いたことがある。

 

ただ私は、孫子というのが人名だと思っていたけれど、どうやらそうではないらしい。

 

孫武という中国の軍事思想家の兵法書が孫子なんだとさ。

 

世間一般の常識、ということであれば非常に恥ずかしい笑

 

さて、そんな孫子の兵法を仕事に活かそう!と考えた齋藤氏による本著。

 

確かに、戦争・戦闘に勝つ、ということと、仕事において競争先に勝つ、ということは似通っている。

 

そのため、勝利の方程式を説いた孫子の兵法と、仕事における心がけが似通っているというのも道理である。

 

孫子は、とにかく情報を重要視している。

 

「彼を知り己を知らば、百戦して殆からず」とは、彼の代表的な言葉のひとつ。

 

自分ができること(=できないこと)を知り、また相手の情報(兵数・地形・攻撃方法等)をしっかりと把握すれば、それに伴って相手に勝つための戦略を立てられ、勝利を得られるということ。

 

これと似た考え方としては、クリムゾンの迷宮(貴志祐介氏)が挙げられる。

 

知らない土地に連れてこられ、その土地の気候・動物や昆虫の生態など何もわからない状態で行われるサバイバルゲームにおいて、主人公が生き残れたのは、「武器」「食糧」といった形あるものではなく、「情報」という形のないものを選択したからであった。

 

現代社会も、情報であふれているとはいえ、その真偽はしっかり自分で確認しないといけない。

 

その上でそれを有効活用、相手に勝つための戦略を練り、実行することが大切だ。

 

また、いかに戦略的判断を下せるか、の重要性も説いている。

 

これは、勝利を得るために、感情論を捨てて判断・行動できるかということ。

 

孫子では精神論や感情論は是とせず、あくまで客観的情報に則って冷静(冷徹)な判断を下せるか。

 

人間誰しもが、感情に支配されている。

 

それを排除して、勝利のために割り切って行動する。

 

例えば、合わない同僚や先輩後輩がいたとしても、転勤のある会社であれば長くてもせいぜい3年4年の付き合いだ。

 

AKB48の作曲・作詞家でも有名な秋元康氏は、とにかく売れたものに関しては感情を排除してリスペクトする気持ちを忘れないらしい。

 

その上で、ヒットした理由や背景を調べたり考えたりすることで、自分の仕事に繋げているのだとか。

 

偏見を持って接してしまうと、成長の機会を失ってしまうことにもなりかねない。

 

中々難しいかもしれないけど、フラットな目線を持つことは大切かもしれないね。

【書籍レビュー】「感動の旅物語」旅猫リポート

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有川浩氏著書の旅猫リポート。

 

これは泣ける。

 

いや、例のごとく実際に泣きはしないんだけど笑

 

とても感動した。

 

仕事前の通勤電車で読むもんじゃなかったかも笑

 

物語の主役は、猫のナナ。

 

雌っぽい名前だが雄。

 

元々は野良猫であったが、車にはねられて重傷を負い、後に飼い主になる宮脇悟(みやわきさとる)に助けられてから、彼らの付き合いは始まる。

 

悟はいわゆる猫ばかであり、猫に対してなら甘々になってしまうが、しっかりと猫の特性や生態に関しての知識もある。

 

そのため、ナナの好きなポイントを押さえることができており、ナナからは好かれている。

 

一方のナナに関しても、悟に対して何故か若干上から目線ではあるものの笑、彼に対しては全幅の信頼を置いている。

 

物語としては、主にナナ目線と、悟が出会う友達の目線で展開されていく。

 

その中で、ナナは基本的に悟以外の人間やナナ以外の猫、また犬に対しても尊大な態度である。

 

ただ嫌味な感じはなく、人間の言葉を理解できていたり、悟と一緒にいるために策を講じたり、悟に迷惑をかけるようなことはしなかったり、本人(本猫?)が自認するとおり、「聡明な猫」である。

 

そのため、人間からの可愛がりに対しては「撫でさせてやろう」とか、餌に対しては「お布施」とか、嚙まれるのではと発言に対しては「無礼だ!」とか心の中で声を上げており、これがまた可愛い。

 

実際の猫も、人間に対してそういう認識であると仮定したらすごく面白いよね。

 

さて、物語自体はタイトルの通り、悟とナナが各地にいる悟の旧友を訪れ、その会話を通じてナナも悟の過去を知る構成となっている。

 

悟は悲劇的な過去を持ちながら、それを悲観することなく生き、かつ器の大きい人間であることが語られる。

 

訪れた旧友たちは、何らかの形で悟に負い目を感じており、それは生々しくもあるが共感できることでもあり、思わず「うんうん」と言ってしまうところもあった。

 

ただ、物語が進んでいくにつれ、その旅の目的が読者に対してもうっすらと分かるようになり、最終章でそれが遂に明らかになる。

 

ラスト、悟とナナの絆、そしてナナの健気な気持ち・行動には涙なしではいられないはずだ。

 

感受性豊かな人なら笑

 

悟の旅と同時に、ナナの旅も最後は終わりを迎えることが示唆されているが、こんな飼い主と暮らせた彼の人生(猫生?)は何て幸せだったんだろう、と思える。

 

どうやら映画化もされている模様だけど、それも納得の傑作であると言える。

【書籍レビュー】「ザ・異端」敗北のスポーツ学

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本著の著者、井筒陸也氏は書籍内でこう語る。

 

「誤解を恐れずに言えば、これまで僕は、サッカーを続けてきた自分の運命を呪ってきました」

 

同氏はサッカー名門、関西学院大学から徳島ヴォルティスに進み、3年間プレーした後に引退した元サッカー選手。

 

そんな同氏の著書を読んだわけだが、ハッキリ言って彼は異端だと思う。

 

幼少のころからサッカーに触れてきたものの、どうやらその頃からサッカーに対して、やや俯瞰的に捉えてきた模様。

 

早くも中学生の頃には「Jリーガーを目指さない」と心に決めている。

 

それでも、先生のコネクションでサッカー名門校の初芝橋本高校に入学、様々な事情から1年生のまとめ役に立候補。

 

3年生時にはインターハイと選手権で全国大会に出場。

 

また、大学はスポーツ推薦で関西学院大学へ。

 

同期には呉屋選手・小林成豪選手(ともに大分)がおり、4年生時には前人未到の4冠を成し遂げている。

 

その後徳島ヴォルティスに入団し、2年目から出番を得始めると、3年目には33試合に出場。

 

ここまでの経歴だけ見れば、順風満帆なサッカー人生に見える。

 

だが彼は、元々サッカーとはいつでもオサラバできる心持でいたとのこと。

 

一般的な観点から言えば、サッカー選手と言えば子供達のなりたい職業の上位に常に君臨し、多くの少年の憧れだ。

 

当たり前の話だが、そんな職業に就ける人間はほんの一握りの存在であり、かつそこで出場機会を得られる選手もその中の更に一握り。

 

それでいながら、その地位に何ら未練も抱かず、同氏はプロサッカー選手としては3年間という短いキャリアに幕を下ろした。

 

サッカー選手を目指しながら、夢破れて諦める人達が数多いる中で、そもそもサッカーに対してあまり熱量も持たず、プロサッカー選手になった同氏は間違いなく異端だろうし、あっさりとその地位を捨てるのも異端だろう。

 

そんな同氏が本著でもテーマとして挙げているのが、「何のためにサッカーをしているのか」という問いに対しての答え。

 

これはそれこそ、プロ・アマ問わず、プレーヤーの数だけ答えがあると思う。

 

私も大学サッカー時に「I play for...」という企画で、自分が何のためにプレーするかを書いたことがあった。

 

その時は全く深く考えずに「魂」とか書いてたけど笑

 

仮に今自分がプロサッカー選手であったらと考えると、「家族」なんだろうな。

 

それは実際のところは「家族を幸せにするために良いプレーをしてお金を稼ぐ」ということだから、イコールお金と言い換えられるかな。

 

ただもし、結婚しておらずに単身だったらと考えると…それは「チーム」になるのかもしれない。

 

プロサッカー選手はチームに所属してはいるものの、あくまで個人事業主であり、チームに忠誠を誓う必要はない。

 

より良いオファーがあれば、チームを移ることは日常茶飯事だ。

 

だけど、もし私がレッズに所属していたとしたら、きっとチームのためにプレーする、と言えたんじゃないだろうか。

 

理由を明確に表現することは難しいけどね。

 

理屈では語れないから。

 

結構面白い考え方をする著者だと思うけど、言葉遣いに酔っている(私の知識に問題ありという疑念もある)感じがあり、もうちょっと著者の目線に立って言葉を選んでほしいかな。

【書籍レビュー】「40歳という立場だからこその説得力」ゴールへの道は自分自身で切り拓くものだ

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これまでレッズを応援してきた中で、最も感情が動いた移籍はどれかと聞かれたら、間違いなく山瀬選手の横浜FMへの移籍だと答える。

 

当時の私は高校生。

 

サッカー部に所属していたものの、海外サッカーやレッズ以外にはあまり興味がなく、自身のアイドルとなる選手についても、そこまで深くのめりこんだ選手はいない。

 

だから当時、自分の部屋にはレッズで中核を担っていた選手として、田中達也氏・長谷部選手・坪井慶介氏と並んで、山瀬選手のポスターを掲示していた。

 

2004シーズン、チャンピオンシップで横浜FMに敗れ、年間王者のタイトルには手が届かなかった。

 

それでも、当時のチームは将来性のある若い選手達が多かったし、山瀬選手も怪我で離脱中だったから、翌シーズンにはきっとリーグタイトルに手が届くと思っていた。

 

そんな中届いた、山瀬選手の移籍の報せ。

 

しかも、レッズが敗れたチャンピオンチームに。

 

今はもう大人になったから、去る者追わずの精神で受け流せているだろう…多分。

 

だけど当時はそんな余裕なんかなかった。

 

多くのレッズサポーターが感じたように「裏切りだ」との感情が真っ先に沸き起こり、一気に陰鬱なオフシーズンとなったことを記憶している。

 

それからもう17年が経った。

 

周囲の近い年齢の選手達は、次々とスパイクを脱いでいるものの、山瀬選手は未だにレノファ山口で現役プロサッカー選手を続けている。

 

レッズも山瀬選手が移籍しながらもリーグ優勝を成し遂げ、当時の移籍感情も既に過去のものとなっている今、彼の生き様を知りたくなった。

 

山瀬選手の出身は北海道。

 

幼い頃から才能は見出されていたようで、中学生の頃にはブラジルへ単身サッカー留学をしていたという驚きの経歴。

 

ここで既に、自分で考える力や、自分の選択には自分で責任を持つ精神を養えたそうな。

 

プロになってからは、札幌⇒レッズ⇒横浜FM⇒川崎⇒京都⇒福岡⇒愛媛⇒山口とチームを移り、山瀬選手も現在40歳。

 

横浜FM以降のチームを離れるときは、チームから戦力外通告を受けての移籍となっているが、それでも他チームからオファーを貰い、現在でも現役を続けている。

 

山瀬選手が説く、ここまで現役を続けられている秘訣は、目の前のことを精一杯やり続けること。

 

これだけだとありがちな言葉に聞こえるが、山瀬選手の置かれている立場を考えると、より一層説得力が増す。

 

年齢が40歳ということもあり、若い選手ほど将来性は望めないし、パフォーマンスも若い頃に比べれば衰えているから、契約は単年契約。

 

従って、翌年もサッカーを続けるためには1年ごとに契約を勝ち取る必要がある。

 

試合に出場して結果を残すことができなければ、複数年解約選手とは異なり、当然契約満了となってしまう。

 

だから、試合に出場するためには日々の練習が大切⇒そのためには日々の過ごし方が大切⇒日常生活(食生活・睡眠時間)からサッカーに対して100%気を遣う…など。

 

確かに、自分ができることを精一杯やっているからこそ、試合にも出場できている(昨シーズンの愛媛では27試合出場)のだろうし、Jリーグ23年連続得点記録も継続中。

 

数多のクラブから戦力外通告を受け、大怪我を何度も経験した山瀬選手だけど、その愚直なまでの取り組みは、しっかりとパフォーマンスに表れているんだね。

 

まただからこそ、戦力外通告になったとしても、サッカーに100%懸けた生活に後悔はなく、前を向けているのだと。

 

明神選手の本のタイトルにもあったけど、「徹することができる」というのは本当に強みだと思う。

 

山瀬選手は今シーズンから所属している山口でも、これまで5試合中4試合に出場し、既に得点も決めている。

 

山口との契約がどうなるかはまだ分からないが、来シーズンもきっとどこかのチームでプロサッカー選手を続けていそうだ。

 

当時の感情をもう捨てられているレッズサポーターにも、オススメの書籍。

【書籍レビュー】「学校が全てじゃないという考え方」かがみの孤城

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学校に行っていない、行けない中学生。

 

子供達にも有り得ないと言い切れないからこそ、考えさせられる。

 

辻村深月氏による小説、かがみの孤城。

 

7人の不登校児(1人は海外留学しているために日本の学校に行っていないだけだけど)が、鏡を通じて行ける不思議な孤城を通じて出会い、徐々に絆を深めていく。

 

元々、城に集められた理由としては、城のどこかにある鍵を見つけ出し、その鍵で秘密の部屋を開放することで、その人だけは願いを1つ叶えられるというもの。

 

あらすじだけ見て、デスゲームみたいな展開になるのかな?と思っていたけど実際にそういった展開はなし。

 

主に、彼ら7人が孤城を通じて徐々にそれぞれの性格や事情を知り、絆を深め合うところにスポットが当てられている。

 

また物語中盤、彼らが分かり合えてきた頃に明かされる、「誰かが願いをかなえてしまうと、孤城での記憶はすべて消去される」という残酷な事実。

 

彼らはそれぞれ、現実世界に問題を抱えているからこそ、学校に行っていない生活を送っている。

 

そのため、背景こそ違えど同様の現実に直面している同年代との生活は心地よく、この事実を知らされても、大方は「鍵を見つけても叶えることはしない」との方針に同意していた。

 

人は誰しも、「自分の居場所」を求めている。

 

個人的にはそれは老若男女、誰彼問わずそうだと思っているし、特に彼らのような中学生年代の子供達が、学校での居場所がないとなると、そこから足が遠のいてしまうのは必然の流れだ。

 

だけど物語終盤、主人公こころが友達の東条さんとの会話で気がついた通り、結局は所詮は学校と考えられるかどうかが重要。

 

学校に行っている子供が普通で、行っていない子供が普通じゃないなんて線引きをする必要はないし、昨今の時世で多様性という言葉が浸透してきている様に、学校に行かない・行けない子はその子なりの選択をしていけば良い。

 

自分の子供達が仮に同じ問題に直面した時、何が何でも学校に行かせたいと考えてしまわないようにしたいね。

 

またラスト、実は…という伏線回収が2つあり面白かった。

 

オオカミさまの正体については、普段彼ら7人に対して尊大な態度を取ったり、杓子定規な態度を取ったりしていたが、実は7人の内の1人、リオンが幼いころに亡くした姉の実生だったこと。

 

リオンが実生の生前に願った、実生と一緒に学校に行きたいという願いは叶わなかったけど、彼女の、リオンに日本の学校に友達を作らせてあげたい、そしてリオンともっと遊びたいという願いが、具現化されたのがこの世界だった。

 

また、彼ら7人の共通世界に存在していたスクールの喜多村先生が、7人の中で最も現実に闇を抱え、城で掟破りを犯したアキだったこと。

 

アキは彼女以外の6名に助け出されることになったが、彼女はその後精神的にも成長し、現実世界で彼女以外の心の支えとなることができた。

 

当初想像していた物語とは違ったけど、伏線回収で感動ポイントもあり、中々面白かった。

【書籍レビュー】「登場人物のギャップに魅力」舟を編む

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正直、舐めていた。

 

小説は基本ミステリーものばっかり読んでいて、それ以外のジャンルについては全く目を向けていなかったが、ネットでビジネスマンが読むべき小説として出てきたため、興味を持って購入。

 

ただ読み始める前は、最初に書いた通り、あまり期待していなかったのが本音。

 

というのは、あらすじを超簡潔に言うと「出版社に勤める主人公と、同部署の面々が辞書作りに励むストーリー」。

 

トンデモトリックや設定がまかり通るミステリー小説と異なり、辞書作りというのは現実世界にあることだけど、一方で通常のビジネスとは異世界というイメージ。

 

ビジネス小説っていうと、実は小説で触れたことはなく、ドラマ「半沢直樹」にハマった程度なんだけど、ああいう勧善懲悪でスカッとする話というイメージがわかなかった。

 

だけど読んだらびっくり、その辞書作りの世界に引き込まれてしまった。

 

個人的に考えるこの書籍の魅力は、以下2点。

 

  1. 辞書作りに懸ける熱い思い
  2. 人物像の掘り下げ

 

1について、ファッション編集部から移動してきた岸辺は、当初は仕事に対して後ろ向きであった。

 

しかし、馬締や製紙会社の宮本の辞書作りに懸ける想いに感化され、いつしか岸辺もその魅力に引き込まれていく。

 

言葉に対する知見のなさや、会社の辞書編集部への扱いから辟易していた岸部も、最後は馬締に対して辞書に乗せる開設に関して意見をしたり、辞書に使う紙に対して決定権を持つまでになり、宮本ともに感動して泣きそうになったりするほどになっていた。

 

馬締は本当にマイペースなんだけど、辞書作りに対してはちゃんと物事を主張したり、部下に対して的確に指示を出したりしている。

 

読者側としては、そのギャップに魅力を感じるはず。

 

また2について、当初主人公と同じ辞書編集部に所属していたが、途中で広告宣伝部に異動になる西岡。

 

馬締とは真逆の、コミュニケーション能力に長けており、表面上は軽薄な人物に見える。

 

しかしその実、会社での居場所を見つけようともがいていた。

 

馬締の登場により、そのセンスは自分には到底及ばないことを知ることに。

 

また、ひそかに情熱を傾けていた辞書作りについても、異動により完成を見届けることは叶わなくなってしまう。

 

内面ではそれらによりネガティブな感情を抱いており、同居人の麗美に対してだけは、その弱さを打ち明けるところもグッとくる。

 

それでも異動前には、しっかりと馬締に対してアシストを決めており、逆に馬締も辞書が完成した暁として、あとがきに西岡の名前を載せている。

 

互いに足りないところを埋め合わせる馬締と西岡のコンビも必見ポイント。

 

本当に、ただの辞書作りの物語と思っていると、良い意味で痛い目に遭います!笑

【書籍レビュー】「Jリーグと欧州サッカーへの熱の差を再認識してしまった」赤と白、わが人生

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アーセン・ヴェンゲル氏。

 

フランス出身の元サッカー選手および監督。

 

イングランドの名門、アーセナルFCを監督として22年間も率いていたことで有名。

 

実はその前にはJリーグの名古屋グランパスの監督であったことは、Jリーグ創世記からのファンならば知るところだろう。

 

これまでは主に選手という目線、あるいは高校サッカーというアマチュアにおける監督という目線の書籍について読破してきたが、今回は欧州の名門中の名門を22年間という異例の長期間指導してきたヴェンゲル氏の自伝となる。

 

自伝というのは、その人や取り巻く環境に対して興味があるかどうかが、そしてその人生の波乱万丈さが、読むにあたっての面白さに繋がっている部分が大いにあると思う。

 

ちなみに後者の面では、ズラタン・イブラヒモビッチ選手やルイス・スアレス選手の自伝が最推し。

 

そして前者の面では、私は欧州サッカーに関してあまり興味がなく、読んでいてもイマイチ没入感に欠ける印象があり、少々もったいなかったかもしれない。

 

例えば、アーセナルに所属していた選手に関して、一定の時期からは私も名前を聞いたことはある。

 

デニス・ベルカンプ氏とか、ティエリ・アンリ氏とか。

 

ただそれ以前の選手に関しては、名前を出されてもピンとこないので、その彼らがじゃあどうだったのか、と語られても親近感が湧きづらい。

 

逆に、名古屋を率いていたころの話は、あまり選手名が分からなくても楽しめた。

 

これは私の、アーセナルひいては欧州サッカーと、Jリーグへの熱の違いなのだろう。

 

自伝で初めて知ったのだが、名古屋時代は最初から最後まで素晴らしい成績だったわけではなくて、当初は成績も悪くて解任されそうだったんだね。

 

そこから立て直してタイトルを獲るあたりは名将と呼ばれる所以なのだろうし、欧州から声がかかるのも頷ける。

 

ただ、監督というのは孤独な職業だから、メンタルコントロールが大変だよね。

 

勝っている内はいいけれど、負けるとその矛先は選手にももちろん行くが、最終的にはその組織のトップである監督(実際は社長なのかもしれないけど)に牙をむく。

 

ピッチでは監督も指示は出せるけど、試合中は刻一刻と趨勢が変化していくわけで、選手達は自分たちで判断をしなければならない場面にも当然直面する。

 

また、選手個人の能力により、試合の勝敗が決することもある。

 

だから監督にはどうすることもできないこともある。

 

それでも、監督は勝敗の責任を負わなければならない。

 

プロサッカー選手が引退後、第二の人生として、指導者の道へ進むことは多いと思う。

 

ただそれで最終的に監督まで上り詰めたとしても、選手の時以上に大変なのは想像に難くないな…。

【書籍レビュー】「業務効率向上バイブル」超効率ハック

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最近は、忙しい。

 

まぁ最近はというより、ずっと忙しいような気がしているんだけど笑

 

今は2つのことを実践して、自らのビジネス力向上に努めている。

 

1つ目は最近よく書籍を読んで勉強している、ロジカルシンキング。

 

問題解決に当たり、ロジカルシンキングがないとダメだと最近ようやく気がついた。

 

論理的に考え、結論を導き出すこと。

 

そしてそれを、他者に分かりやすく説明できること。

 

これを身に付け、問題解決力を向上させれば、ビジネスに役立つ。

 

そして2つ目が、業務効率向上による時短対策。

 

これを同時並行で実施していき、業務効率を上げたい。

 

さて今回はそれらをまとめて1冊のバイブルとしている「超効率ハック」。

 

もちろん、ロジカルシンキング等に関しては専用の書籍があるので、そちらをメインにしているが、「考え方」という部分では参考にできる部分もあるため、絶賛取入中。

 

著者は羽田康祐氏。

 

1つ目のロジカルシンキングにも通じる『問題解決力を高める「推論」の技術』の著者でもある。

 

こちらも読破しているので、近日中にレビューを上げたい。

 

今著については、私の現状でも記載したように、生産性を上げて業務効率を向上させたい方に向けてオススメ。

 

著者が勤めた外資系コンサルと広告代理店で培った、業務効率向上となる「思考法」「発想法」「仕事術」といった手法が全57項目にわたり紹介されている。

 

また、一つ一つの項目がブログ形式で短くまとめられているため、読みやいのも利点。

 

今回はその中で、私が実践して役立っていると考えている以下3つについてご紹介。

 

  1. やるべきことを見える化する
  2. 手段と目的を分けて進める
  3. お尻を決めることで自分を動かす

 

1は業務のブレイクダウンのこと。

 

全ての業務に対してやってしまうと逆に業務効率が悪くなるため、複雑化していたり、他者も含めてスケジュールを共有する必要があったりする時には、スケジュール感を図に書いて認識することで、抜けや漏れを防いだり、他者にも視覚的に明示することができる。

 

2は会議に対してのアプローチ。

 

会議の招集一つに対しても、漠然と招集する前に、「案件のゴール」「会議の目的」「会議のゴール」「資料共有」を事前に行うことで、何のための会議か、何を決めたいのかを共有できる。

 

また、会議の最初には予定時間を話すようにしているので、会議がダラダラ長引くことを防いでいる。

 

3は業務についての期限を決めるということ。

 

最近の手帳には、タスクとそれに対する期限を同時に記入するようにしている。

 

出勤時には必ず1日のスケジュールを細部まで決めるようにしているので、その際に期限を定めた業務を組み込むことで漏れを防いでいる。

 

まだこれで残業が目に見えて減少した!と成果に表れていないところが残念だが、これ以外にも多様のハック術が紹介されている。

 

働き方改革が叫ばれ、生産性向上を嫌が応にも求められる昨今、業務効率向上バイブルとして、皆様もぜひ読んでいただきたい一冊。