お世話になっております。
先日、短編集形式の小説を読んでから、テンポの良さであったり、サクサク読み進められることであったりというところに惹かれ、同様に短編集形式の小説を読破。
昔、読破したことのあった、「インシテミル」の著者としても有名な、米澤穂信氏の「儚い羊たちの祝宴」を読了。
今回もストーリーとしては5つの短編集からなっており、当然各話に登場する人物は全く異なる。
しかし、時間軸としては1つとして繋がっているようで、「バベルの会」なる、大学の読書サークルというものに、各話の登場人物の誰かしらが所属している。
いきなりぶっちゃけると、最終話の「儚い羊たちの祝宴」のとある登場人物により、そのバベルの会に所属する人々は全員殺害されてしまった模様。
バベルの会はそれから活動休止となっていたが…ラストに「バベルの会はこうして復活した」との文字が。
つまり、この事実を知った者が、再び同様の惨劇を起こさんと、暗躍しようとしている…というのがラスト。
確かにラスト1行の衝撃にこだわっている作品だけあって、衝撃、驚きを受けた。
復活させるんかい!って。
その前までの流れでいえば、明らかに昔この場所ではそういったことがあったが、永らく使われていなかったこともあり、数年でただの危険な廃墟となる、という表現をしている。
だから、てっきりその惨劇を第三者が振り返り、物語が幕を閉じるものと思っていた。
そこからの復活!だからね。
いやはや、感服いたしました。
個人的に最も好きなのは、2話目の「北の館の罪人」。
この話は主人公が殺人者であり、上手く誰にも感づかれることなく、目的となる人物を殺害する訳なのですが、その被害者は、自分が殺害されようとしていることに気が付いていた、というラストが好き。
それはラストに、被害者が描いた、主人公の絵からわかるようになっている。
主人公の手は、不自然に紫色に描かれいるが、それは時間の経過とともに、赤色に変色していくという仕掛けが施されている。
被害者は、殺害される前に、主人公にこう漏らしていた。
「殺人者は赤い手をしている」
被害者は、殺害方法が食事にヒ素を混ぜて徐々に殺害という方法だったのもあるが、主人公に自分の命が狙わているということに気が付いていた。
それを自分の死後、残された弟と妹に教えるために絵に仕掛けを施しておいたということ。
ラストの時点で妹は絵を見ても気が付いていなかったが、弟は切れ者だから、絵を見たら間違いなくピンとくるだろう。
上手く殺したと思わせてからの、どんでん返し。
この感覚は癖になりますね。