私は長距離走が好き。
観るのが、だけど。
マラソンも駅伝も、それぞれ違った良さがある。
駅伝は、各区間でランナーが変わるから、それぞれ力の差や戦略があるし、順位変動が目まぐるしいからスリリングで見応えがある。
箱根駅伝の2区や5区はその最たる例。
マラソンは、同じランナーがずっと走ることになるけど、その間の駆け引きや、途中から脱落していく選手が出てくる、所謂バトルロイヤルな所が面白い。
今回は、そんな私が好きな陸上長距離選手で、マラソン日本記録保持者の大迫傑選手による、思考法を記した書籍を読んだ感想をば。
これまでのSNSやインタビューの端々からも読み取れてはいたが、大迫選手は自分の芯をしっかりと持っている。
だから、何事も自分で決断し、自分の決断に言い訳もしない、そんな選手だ。
大迫選手を一言で表すならば、あくまでも良い意味で、「究極の自己中心者」。
つまりワガママな人とかそういう意味ではなく。
例えばメディアや他者に対しては、明らかに1本の線を引き、結局は自分自身の毎日の積み重ねでしか、未来は作らないと考える。
これは、今まで読んできた書籍とは違うように思う。
それは、私が今までチームスポーツの偉人の方の書籍を読んできたからだろう。
チームスポーツであれば、チームの一体感や輪、またチームメイトのモチベーションや力量といったものが、結果に大きく関わってくる。
だから、どうしても無視できない要素だった。
しかし、陸上競技は駅伝やリレーを除けば個人スポーツ。
大迫選手が今チャレンジしているマラソンもそう。
だから、他人は他人としっかりと割り切れ、流されることもない。
書籍では、楽な方に流される友人達に対して、心では結構厳しいことを思っていたことを吐露している。
練習相手にしても、自分の力量と見合う選手としか練習はしない。
また、メディアにしても、結局自分の想いが100%伝わらなかったり、曲解して伝わるため、今では良くも悪くも諦めがついているのだとか。
そして最終的には、先ほども述べたような、結局は自分の、毎日、そして今の積み重ねによって、未来が作られるという結論に至る。
そんな大迫選手だからこそ、地道な努力を積み上げ、日本記録更新を実現できたのだろう。
また見習いたいと思ったのは、読者からの「どうしても練習したくない日ってありませんか⁇」という質問に対しての「したい、したくないではなくて、必要か必要じゃないかで考えてます。」という回答。
確かに目標を達成したければ、それが必要であれば必ずやらなければならない。
最近ちょっとモチベーションを失いかけていた私にとっては(そんなんじゃダメだが…)重かありがたい言葉だ。
恐らく彼は、中田英寿氏と似通っている様に思う。
競技が個人かチームかだけの違いであって。
中田氏も確固たる意志を持っていたし、言い訳をしない信条だったから。
勿論、長谷部誠選手や川島永嗣選手や長友佑都選手も同じ事を綴っていたとは思う。
ただ、過去の書籍を読んだ時、中田氏の方がより個人スポーツに向いていると感じたから、そう思ったのだろう。
残念ながら先日のMGCで東京五輪内定とはならなかった大迫選手だが、ぜひ本番で彼の走りを見てみたいものだ。