和製コルドバが追いかける、赤き血のイレブン達。

浦和レッズと読了書籍についてマイペースに綴ってまいります。

【書籍レビュー】「信頼と習慣」ゴールデンスランバー

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最近の土日は時間が余っている。

 

自己投資の時間ができるのはいいことだが、コロナウイルスの関係で、元々5月末に受験するはずだった資格試験が中止となってしまった。

 

逆に言えばそれ以外、例えば読書に費やす時間は増やすことができている。

 

だから前回読了した書籍からあまり間を置かずに読了。

 

3月サボった分も挽回していかなきゃね。

 

今回は、伊坂幸太郎氏のゴールデンスランバーについて。

 

首相暗殺の濡れ衣を着せられた主人公、青柳雅春の逃走劇を描く。

 

読了後にアマゾンのレビューに「世界観が合わない」という書き込みがあったけど、わからなくはない。

 

自分は全然気にならなかったけどね。

 

書籍内では、警察が拳銃を青柳に向けて何のためらいもなく発砲し、ショットガンをファミレス内でぶっぱなし、プライベートはどこへやら、市民の電話や行動を常に監視している。

 

また、青柳を何としてでも犯人と仕立て上げるべく、彼の周囲の人間を利用、また時によっては危害を加えてでも利用している。

 

個人的にはフィクションだから、空想でシーンを思い浮かべながら読んでいて楽しかったし、劇場版もDVDを借りて観てみたいと思ったけど、日本という舞台から現実離れしすぎているのも事実。

 

世界観って、受け入れられないと読むのも嫌になるからしょうがないとは思うよ。

 

例えば、テレビでたまにやってるアメリカ?のコメディドラマも、観たら面白いのかもしれないけど、私も所謂そういうノリ、というだけで特に観もせず敬遠している。

 

だから、上記のような事態が日本で起こるなんてあり得ない!もっとリアリティを追求せい!って方にはオススメしない。

 

けど、内容はとてもスリリングで面白い。

 

主人公の青柳が過去に触れあってきた人々に助けてもらいながら、紙一重の逃走を続ける。

 

青柳を犯人に仕立て上げようとした黒幕は、劇中では結局謎のままということだったけど、ある程度「国家」というところに落ち着いている。

 

そんな巨大な相手に1人の人間が立ち向かう。

 

一見、とても敵う相手ではないと思える。

 

しかし、彼は最終的に敵から逃げのびた。

 

彼が逃げのびられたのは「信頼と習慣」というものを体現したからだ。

 

大学時代のサークル仲間、森田、樋口、カズ。

 

元勤務先の先輩の岩崎、昔命を救ったアイドルの凛香、花火大会の手伝いをしたことのある花火師の轟、同業の知り合いの前園。

 

更に、逃走中に出会った怪しい人々。

 

昔はかなり怪しい仕事を生業としていた保土ヶ谷、そしてなんとびっくり数年前に仙台市内を恐れおののかせた連続殺人犯の三浦まで。

 

青柳は、彼らを信頼した。

 

逃走中のみであり、自分に助けを申し出るものの言葉をうのみにすれば、逆に敵にハメられ、冤罪で逮捕される可能性があるにもかかわらず。

 

それは、「信頼と習慣」という言葉を発したのが、彼の一番の親友である森田であったことが大きい。

 

森田は物語序盤で車に仕掛けられた爆弾で死亡してしまうものの、青柳が敵から逃げ延びられたのは森田の言葉のおかげだ。

 

青柳はその証拠に、物語の至るところで森田のこの言葉を思い出したり、彼の口癖であった「森の言葉」について問いかけている。

 

死んではしまったけど、逃走中の彼の行動の基準を形作ってくれたから、迷った時も、ぶれずに行動ができたんだ。

 

やっぱり行動の軸があり、芯の通った人間になれるといいよね。

 

ここからは考察になるが…実のところ、私は森田を疑ってた笑

 

だって明確に死亡の描写がなかったから。

 

本作品で明確にならなかったこととして、「青柳を首相暗殺の犯人に仕立て上げようとしたのは誰なのか」「本来濡れ衣を着せられるはずだったのは誰だったのか」という点がある。

 

一応、作品序盤のルポライターの視点から、前者は現首相の陰謀によるもの、後者は事件当日に突然の心不全で亡くなった中年男性と語られている。

 

だけど作品を読んでいる間はそんなこと忘れていたので、怪しいのは誰だ?と訝っていた。

 

個人的には、森田と入院患者の田中が怪しいと睨んでいたんだけどね。

 

森田は前述のとおり、明確に死亡した描写がなかったし、青柳がこれから陥れられるということを知っていた。

 

だから、森田が乗っていた車は爆発したけれど、彼は爆発の前に脱出していて、黒幕として暗躍しているんじゃないか?と考えていた。

 

だけど森田はその後もちゃんと死亡した扱いになっていたし、この説は外れていた。

 

また田中は物語序盤で首相暗殺事件時に、第3者の視点から今回の顛末を語る人物として登場。

 

事件に絶妙な距離を持っているから、実は田中が本来濡れ衣を着せられるはずの人物だったのでは?とも考えた。

 

けどこれも、青柳と異なり、事件の前から妙な出来事が身の回りで起こっていたという描写もないし、彼に対する深い言及もない。

 

この考察も的外れだった模様笑

 

けど、こうやって色々と考えるのも小説の楽しさだよね。

 

あとこれは読破後にネットで観て後悔したんだけど、前述の作品序盤のルポライターの視点、あれは青柳が事件を振り返り、自分なりに調査、まとめた結果なんだ。

 

自分で気が付きたかったなぁ…。

 

確かに、森田の口癖だった森の声とか言ってるし、逃走中に助けてくれた不良少年達が話してたことも知ってるし。

 

改めて読み返してみると、事件で関わった人物のその後が描かれていて新たな発見があって面白かった。

 

国家エグいな、って感じだけど。

 

気になる方は是非ご一読を。

 

長いけど一気に読めるスリルが楽しめる。

 

まだ書きたいことはいっぱいあるけど、長くなりすぎるのでここら辺で。