阿部選手の引退から始まり、槙野選手の退団。
これだけでも相当の衝撃だったが、とどめと言わんばかりに、宇賀神選手が契約満了により退団することが発表される。
何という1週間…。
宇賀神選手は、地元埼玉県出身の33歳。
浦和レッズユースから、流通経済大学を経由し、レッズに帰還。
そこからレッズ一筋、12シーズンを戦ってきた。
そんな選手も今シーズン限りでレッズを去るとは…。
世代交代が急加速しつつある。
さて、宇賀神選手を語る上でのキーワードは、以下の3点だと思っている。
①大学サッカー
②チーム内競争にことごとく勝利
③サポーター目線の活動
まず、①について。
宇賀神選手は前述の通り、レッズの下部組織出身だが、トップチームに昇格できなかったことから、流通経済大学へ進学し、大学サッカーに身を投じている。
そこで4年間揉まれて成長し、大学4年次には特別指定選手としてレッズに登録され、翌シーズンから正式にレッズへ加入。
つまり、レッズにおける「下部組織出身選手が大学サッカーを経由して成長し、チームに戻ってくる」を体現した第一人者なのだ。
今でこそ、こういった流れは一般的・主流になってきており、現日本代表の三笘選手(現ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ(ベルギー))も川崎U-18⇒筑波大⇒川崎という経歴。
そしてレッズ関連でも、現所属の伊藤選手は宇賀神選手と全く同じ経歴、過去に所属していた阪野選手(現松本)も、明治大を経由してレッズに戻ってきた経緯がある。
このように、トップ昇格できなくても、そこで腐らずに大学で努力を続ければ、かつては昇格できなかったチームに戻ってこられるという道筋を示した選手であり、功績は大きい。
次に②。
これまで、宇賀神選手は主に左SBもしくはWBを務めてきたが、そのポジションには強力なライバルを補強されることが多かった。
関口選手(現仙台)・橋本選手(現岐阜)・駒井選手(現札幌)・菊池選手(現栃木)などがその例。
そのため毎回、今回ばかりはレギュラー交代か…と思わされるのだが、その都度、宇賀神選手は競争に勝ち、レギュラーとして試合に出場し続けてきた。
宇賀神選手は、監督が交代する度、そして同ポジションに選手が補強されるたび、とめどない努力を続けてきたのだろう。
彼のコメントからもそれが読み取れるし、プレースタイルの変化も顕著だ。
加入したての頃の宇賀神選手は、とにかく「突貫小僧」だった。
ボールを持ったら、とにかくドリブルで仕掛ける。
当時のインタビュー記事で、自身の存在価値はドリブル、と言っていたのを記憶している。
今ではほとんど見なくなってしまったけど、シザースフェイントを駆使し、縦に突破しての左足クロス、もしくは中にカットインして右足で巻いたシュート。
その動きもキレキレだった。
そこから様々な経験を得て、年齢も重ねるごとに、プレースタイルは良くも悪くも丸くなり、あまりリスクを冒さなくなったかな。
ただこれもきっと、自身が成長するため、競争に勝ち残るため、宇賀神選手が試行錯誤の上で辿り着いた答えなのだろう。
最後、サッカー以外の面となるが、サポーターに向けてのサービス。
今シーズン開幕前のキャンプで、トップチーム選手と、WEリーグの埼玉ダービー前には、それぞれのチームの選手と、インスタライブを実施。
武田選手(現琉球)・伊藤選手らとの会話をサポーター向けに発信し、選手たちの生の言葉をサポーターに向けて届けてくれた。
私達が選手たちのコメントを聞ける機会って、公式やら情報媒体やらを通してとなるので、どうしてもニュアンスがちょっと変わって届けられていたり、どこか選手との距離間が遠く感じられていたりすることが多かった。
その点、インスタライブはそういった編集の余地はないし、選手と近づいた気分になれて、非常に楽しかった。
戦力面で言えば、阿部選手・槙野選手がいなくなることは非常に大きい。
ただ、それ以外の面で総合的にレッズにとって最大のダメージは、実は宇賀神選手だと個人的に思っている。
コメントで、レッズに対する愛を語ってくれた宇賀神選手。
次のステージでも、頑張ってほしい。
【2022年1月8日追記】
移籍先はFC岐阜に決定。