和製コルドバが追いかける、赤き血のイレブン達。

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【書籍レビュー】【ネタバレ有】「あのゲームを彷彿とさせる…」屍人荘の殺人

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書籍レビューがさぼりがちになるから、今年はしっかりやっていきたい。

 

と言いながら、毎年尻すぼみになっている気がするけど…笑

 

今回は、屍人荘の殺人。

 

シチュエーションとしてはこの手の作品によくある、クローズドサークルでの連続殺人、というやつ。

 

主人公を含む一行が、とある別荘に宿泊のために向かうのだが、そこでとある理由により、缶詰にされてしまう。

 

だが本著の最大の特徴とも言えるのが、そのクローズドサークルに至る経緯にある。

 

それが、人気ゲームシリーズを思い起こす「大挙したゾンビに襲撃され、別荘を包囲されてしまう」というもの。

 

なかなか斬新な、そして非現実的な設定だ。

 

割とここは賛否両論あるところかもしれないが、私はどちらかと言えば歓迎する方。

 

伊坂幸太郎氏のゴールデンスランバーも、国家から追われるという展開であり、日本じゃありえないだろ!という声がありそうだが、私は割り切って楽しめるタイプ。

 

↓当該記事↓

www.zeniya47.tokyo

 

従って、本著で採用された、バイオハザードを彷彿とさせる世界観も、これはこれでアリ、と楽しめた。

 

また、この世界観ならではのトリックがあるところもミソ。

 

被害者は3名に及ぶのだが、その内の2名は、犯人に直接手を下されたわけではなく、ゾンビに喰われたことで絶命したもの。

 

これが読者を引き込むポイントになっている。

 

死体の状況から、被害者はゾンビに襲われたものと考えられるのだが、様々な疑惑が立ち塞がるため、解答に辿り着くのは困難。

 

ゾンビは、私たちの常識(?)にある設定に沿っているため、

 

  • 人間を喰う
  • 運動能力は低く動きも鈍い
  • 知能は低い
  • 頭を潰さないと死なない

 

といった性質を持っている。

 

そのため、

 

  • ゾンビが都合よく被害者だけを襲えるのか?
  • どこから別荘に入ってきたのか?
  • 人為的に残されたメッセージは何を意味するのか?

 

などといった要因が頭を悩ませる。

 

ま、これがミステリーの楽しいところだからね。

 

また、ゾンビが別荘を徐々に侵略してくるため、どんどん主人公たちの防衛ラインが下がっていくのも、ヒリヒリ感に拍車がかかり面白い。

 

ラストでは犯行を暴かれた犯人が、身を挺して主人公一行を守ったうえで自決。

 

この状況下で共に助かる結末は有り得ないだろうから、妥当な落とし所。

 

クローズドサークルへの持って行き方と、締め方が良かったので、個人的には高評価。