前回は高校サッカーのメソッドについての書籍を読破したので、今回は大学サッカーを。
関東大学サッカーリーグ1部所属、明治大学サッカー部監督の栗田大輔氏による、当該サッカー部のメソッド。
明治大学は、大学サッカー界において、まごうことなき強豪校。
というか、ここ数年では「最強」という名称が似合う大学と言える。
一昨シーズン・昨シーズンは全国で最もレベルが高いと言える関東大学サッカーリーグ1部において、連覇を達成。
今シーズンは流通経済大学に逆転優勝を許したが、最終節直前までは首位を走っており、3連覇も手中に入れかかっていた。
また、リーグだけではなくカップ戦においても、総理大臣杯で優勝3回・準優勝2回。
実はこの優勝・準優勝は全て連続したシーズンに挙げた実績。
どういうことかと言うと、優勝は2016・2019・2020シーズン、準優勝は2017・2018シーズン。
つまり、5シーズン連続で決勝進出を果たすという記録を打ち立てており、強制的にプレイヤーが入れ替わる大学サッカーというステージにおいて、無類の強さを誇っている。
そんな実績もあり、ここ数年は常にJリーグに人財を輩出し続けており、2020年は歴代最多の12名がプロへ。
大学サッカーを語るうえで、外せない存在となっているのが同大サッカー部というわけだ。
この書籍で面白かったと感じたのは、これは大学サッカー部ならではというべきか、週に1回、サッカーとは全く関係ないことでのミーティングがあるということ。
栗田氏は普段は大手ゼネコンで働くサラリーマンなので、そのサラリーマン経験の中で感じたこと、新聞の気になる記事のこと、経済のこと、人としての在り方のこと、良い組織の悪い組織の違いなど。
私も社会人になってから、本を読むようになり、多様な価値観に触れ、考え方が以前よりは深まったように思っているので、それを大学生の段階から始めるのは、社会に出る人間を育てるのに良い方法だと思う。
高校サッカーと大きく異なるように感じたのが、高校サッカーと言えば、とにかくサッカー。
最終目標として、全国高校サッカー選手権で優勝する、というものがあるイメージ。
(高校サッカーが人間形成を軽視しているという意味じゃないよ笑)
それと比較して、同大サッカー部が声を大にして言っているのは、「プロ養成所」ではないということ。
社会に出るための準備期間が大学であり、社会に出て活躍することのできる人の養成を第一に掲げている。
もちろん、サッカー部である以上は結果にこだわるが、それが最終的にプロサッカー選手の輩出に繋がればいいというスタンス。
あくまで、人間力の形成にこだわりを持っているようだ。
でもだからこそ、同大サッカー部出身選手は、プロでも大いに活躍している。
長友選手(FC東京)・室屋選手(ハノーファー(ドイツ))といった海外での実績がある選手をはじめ、Jリーグでも柴戸選手(浦和)・安部選手(FC東京)・森下選手(名古屋)など、レギュラーで活躍する選手多数。
これらの選手たちは、書籍内で触れられているが、上手くいかないときに自らにベクトルを向け、課題を認識し、それを克服する、自己補正力を持っているということなのだろう。
だから、プロで結果を出し続け、生き残り続けられているということだろう。
さて、ここからは浦和レッズサポーターの方向け。
同大サッカー部出身の柴戸選手について。
栗田氏による柴戸選手評は…。
- 運動量がありプレーヤーとしては抜群。
- 職人気質で猟犬のようにボールに食らいつく。
- 入学当初は味方とコミュニケーションをとってプレーするところに課題。
- 課題と向き合ったことで人間的・精神的に成長し、4年生の時は副将。
プレー面は今の良いところそのままですな。
コミュニケーションに課題があったものの、最終的に副将を務めるまでになったということは、人と喋るのが苦手ということではなく、当時は言語化が上手くできなかったという類かな。
柴戸選手は個人的に今シーズンのキャプテン候補筆頭だと思っている。
この書籍を読み、この組織で育てられた彼であれば、キャプテンを務めてもチームいい方向へ引っ張っていってくれると思ったよ。