最近、自分自身の猫成分が強くなってきていると思う。
これまでは犬派だったんだけどね。
妻が何を隠そう無類の猫好きということもあり、私もその影響を受けてか、知らず知らずの内に、猫が登場する小説を購入する傾向になってきている。
三毛猫ホームズシリーズ、そして今回の「猫の惑星」にしても。
妻の実家で猫と戯れているのは癒されるから、知らず知らずの内に、猫推しになっているんだろうね。
悲しいかな猫アレルギーだから、マスクは欠かせないんだけど…笑
そんな中、書店で書籍を物色していたら、この表紙とタイトルで衝動的に購入したこの作品。
作者は梶尾真治氏。
結論から言えば、「設定は面白いけどラストがうーん…」ってところ。
主人公のイクオは、いわゆる超能力を使える少年。
シテンというところで暮らしており、パパと呼ばれる人を喜ばせるため、ママの管理下において、毎日超能力の練習をしている。
また、超能力が鍛えられてきたら、「用事」のためにシテン外へ出かけることもあるが、その内容は人間の抹殺という物騒なもの。
そこに、人の心を読める野良猫のウリが、シテンからの脱走を持ちかけることで、物語は大きく動いていく…というもの。
イクオがまだ子供であり、そのイクオ視点で物語が進められるため、子供っぽさが感じられる雰囲気もありつつ、人間の抹殺という残酷な描写もあり、ギャップを生み出している。
また、猫もウリだけではなく、狂戦士となれるクロや擬態能力をもつベーなど、色々な能力を持つ猫との旅であり、彼らがそれぞれの能力を駆使して敵を退けるシーンは、冒険ものとして面白さあり。
ただイマイチ、伏線を回収しきれていなかったり、急展開であったりという箇所が散見され、話についていけなかった一面もある。
例えば、途中で出会う少女のヒカリが持っていた円筒形のものがなんだったのかは最後まで言及されなかったし、シテンからの刺客であるカストラートがヒカリの兄という超展開だし、謎の円盤が襲来したと思ったら、急に猫の王が現れて迎撃を始めたし…。
約300ページほどある物語で、250ページくらいまでは面白く読み進められるけど、そこから先が急展開すぎたかな。
最後にシテンの本当の役割とか、円盤の正体とかも語られるから、ある程度の納得感はあるけどね。
個人的に一番興味深かったのは、「人間が猫に仕えている」とウリが言っているところ。
現実では、「猫が人間に仕えている」んだろうけど、作中でウリの言っているように、実は「猫様にお食事を差し上げている」のかもしれないし、「お家をご用意して差し上げている」のかもしれない。
見ようによっては猫が上の立場ということも考えられ、面白い視点だと思ったな。