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【書籍レビュー】「ザ・異端」敗北のスポーツ学

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本著の著者、井筒陸也氏は書籍内でこう語る。

 

「誤解を恐れずに言えば、これまで僕は、サッカーを続けてきた自分の運命を呪ってきました」

 

同氏はサッカー名門、関西学院大学から徳島ヴォルティスに進み、3年間プレーした後に引退した元サッカー選手。

 

そんな同氏の著書を読んだわけだが、ハッキリ言って彼は異端だと思う。

 

幼少のころからサッカーに触れてきたものの、どうやらその頃からサッカーに対して、やや俯瞰的に捉えてきた模様。

 

早くも中学生の頃には「Jリーガーを目指さない」と心に決めている。

 

それでも、先生のコネクションでサッカー名門校の初芝橋本高校に入学、様々な事情から1年生のまとめ役に立候補。

 

3年生時にはインターハイと選手権で全国大会に出場。

 

また、大学はスポーツ推薦で関西学院大学へ。

 

同期には呉屋選手・小林成豪選手(ともに大分)がおり、4年生時には前人未到の4冠を成し遂げている。

 

その後徳島ヴォルティスに入団し、2年目から出番を得始めると、3年目には33試合に出場。

 

ここまでの経歴だけ見れば、順風満帆なサッカー人生に見える。

 

だが彼は、元々サッカーとはいつでもオサラバできる心持でいたとのこと。

 

一般的な観点から言えば、サッカー選手と言えば子供達のなりたい職業の上位に常に君臨し、多くの少年の憧れだ。

 

当たり前の話だが、そんな職業に就ける人間はほんの一握りの存在であり、かつそこで出場機会を得られる選手もその中の更に一握り。

 

それでいながら、その地位に何ら未練も抱かず、同氏はプロサッカー選手としては3年間という短いキャリアに幕を下ろした。

 

サッカー選手を目指しながら、夢破れて諦める人達が数多いる中で、そもそもサッカーに対してあまり熱量も持たず、プロサッカー選手になった同氏は間違いなく異端だろうし、あっさりとその地位を捨てるのも異端だろう。

 

そんな同氏が本著でもテーマとして挙げているのが、「何のためにサッカーをしているのか」という問いに対しての答え。

 

これはそれこそ、プロ・アマ問わず、プレーヤーの数だけ答えがあると思う。

 

私も大学サッカー時に「I play for...」という企画で、自分が何のためにプレーするかを書いたことがあった。

 

その時は全く深く考えずに「魂」とか書いてたけど笑

 

仮に今自分がプロサッカー選手であったらと考えると、「家族」なんだろうな。

 

それは実際のところは「家族を幸せにするために良いプレーをしてお金を稼ぐ」ということだから、イコールお金と言い換えられるかな。

 

ただもし、結婚しておらずに単身だったらと考えると…それは「チーム」になるのかもしれない。

 

プロサッカー選手はチームに所属してはいるものの、あくまで個人事業主であり、チームに忠誠を誓う必要はない。

 

より良いオファーがあれば、チームを移ることは日常茶飯事だ。

 

だけど、もし私がレッズに所属していたとしたら、きっとチームのためにプレーする、と言えたんじゃないだろうか。

 

理由を明確に表現することは難しいけどね。

 

理屈では語れないから。

 

結構面白い考え方をする著者だと思うけど、言葉遣いに酔っている(私の知識に問題ありという疑念もある)感じがあり、もうちょっと著者の目線に立って言葉を選んでほしいかな。