和製コルドバが追いかける、赤き血のイレブン達。

浦和レッズと読了書籍についてマイペースに。

【書籍レビュー】「感動の旅物語」旅猫リポート

f:id:zeniya47:20220423231827j:image

 

有川浩氏著書の旅猫リポート。

 

これは泣ける。

 

いや、例のごとく実際に泣きはしないんだけど笑

 

とても感動した。

 

仕事前の通勤電車で読むもんじゃなかったかも笑

 

物語の主役は、猫のナナ。

 

雌っぽい名前だが雄。

 

元々は野良猫であったが、車にはねられて重傷を負い、後に飼い主になる宮脇悟(みやわきさとる)に助けられてから、彼らの付き合いは始まる。

 

悟はいわゆる猫ばかであり、猫に対してなら甘々になってしまうが、しっかりと猫の特性や生態に関しての知識もある。

 

そのため、ナナの好きなポイントを押さえることができており、ナナからは好かれている。

 

一方のナナに関しても、悟に対して何故か若干上から目線ではあるものの笑、彼に対しては全幅の信頼を置いている。

 

物語としては、主にナナ目線と、悟が出会う友達の目線で展開されていく。

 

その中で、ナナは基本的に悟以外の人間やナナ以外の猫、また犬に対しても尊大な態度である。

 

ただ嫌味な感じはなく、人間の言葉を理解できていたり、悟と一緒にいるために策を講じたり、悟に迷惑をかけるようなことはしなかったり、本人(本猫?)が自認するとおり、「聡明な猫」である。

 

そのため、人間からの可愛がりに対しては「撫でさせてやろう」とか、餌に対しては「お布施」とか、嚙まれるのではと発言に対しては「無礼だ!」とか心の中で声を上げており、これがまた可愛い。

 

実際の猫も、人間に対してそういう認識であると仮定したらすごく面白いよね。

 

さて、物語自体はタイトルの通り、悟とナナが各地にいる悟の旧友を訪れ、その会話を通じてナナも悟の過去を知る構成となっている。

 

悟は悲劇的な過去を持ちながら、それを悲観することなく生き、かつ器の大きい人間であることが語られる。

 

訪れた旧友たちは、何らかの形で悟に負い目を感じており、それは生々しくもあるが共感できることでもあり、思わず「うんうん」と言ってしまうところもあった。

 

ただ、物語が進んでいくにつれ、その旅の目的が読者に対してもうっすらと分かるようになり、最終章でそれが遂に明らかになる。

 

ラスト、悟とナナの絆、そしてナナの健気な気持ち・行動には涙なしではいられないはずだ。

 

感受性豊かな人なら笑

 

悟の旅と同時に、ナナの旅も最後は終わりを迎えることが示唆されているが、こんな飼い主と暮らせた彼の人生(猫生?)は何て幸せだったんだろう、と思える。

 

どうやら映画化もされている模様だけど、それも納得の傑作であると言える。