有川浩氏著書の旅猫リポート。
これは泣ける。
いや、例のごとく実際に泣きはしないんだけど笑
とても感動した。
仕事前の通勤電車で読むもんじゃなかったかも笑
物語の主役は、猫のナナ。
雌っぽい名前だが雄。
元々は野良猫であったが、車にはねられて重傷を負い、後に飼い主になる宮脇悟(みやわきさとる)に助けられてから、彼らの付き合いは始まる。
悟はいわゆる猫ばかであり、猫に対してなら甘々になってしまうが、しっかりと猫の特性や生態に関しての知識もある。
そのため、ナナの好きなポイントを押さえることができており、ナナからは好かれている。
一方のナナに関しても、悟に対して何故か若干上から目線ではあるものの笑、彼に対しては全幅の信頼を置いている。
物語としては、主にナナ目線と、悟が出会う友達の目線で展開されていく。
その中で、ナナは基本的に悟以外の人間やナナ以外の猫、また犬に対しても尊大な態度である。
ただ嫌味な感じはなく、人間の言葉を理解できていたり、悟と一緒にいるために策を講じたり、悟に迷惑をかけるようなことはしなかったり、本人(本猫?)が自認するとおり、「聡明な猫」である。
そのため、人間からの可愛がりに対しては「撫でさせてやろう」とか、餌に対しては「お布施」とか、嚙まれるのではと発言に対しては「無礼だ!」とか心の中で声を上げており、これがまた可愛い。
実際の猫も、人間に対してそういう認識であると仮定したらすごく面白いよね。
さて、物語自体はタイトルの通り、悟とナナが各地にいる悟の旧友を訪れ、その会話を通じてナナも悟の過去を知る構成となっている。
悟は悲劇的な過去を持ちながら、それを悲観することなく生き、かつ器の大きい人間であることが語られる。
訪れた旧友たちは、何らかの形で悟に負い目を感じており、それは生々しくもあるが共感できることでもあり、思わず「うんうん」と言ってしまうところもあった。
ただ、物語が進んでいくにつれ、その旅の目的が読者に対してもうっすらと分かるようになり、最終章でそれが遂に明らかになる。
ラスト、悟とナナの絆、そしてナナの健気な気持ち・行動には涙なしではいられないはずだ。
感受性豊かな人なら笑
悟の旅と同時に、ナナの旅も最後は終わりを迎えることが示唆されているが、こんな飼い主と暮らせた彼の人生(猫生?)は何て幸せだったんだろう、と思える。
どうやら映画化もされている模様だけど、それも納得の傑作であると言える。