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【書籍レビュー】「プロサッカー選手という夢」フットボール風土記

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1991年に発足したJリーグも、今年で31年目を迎えている。

 

当初からJリーグに参画していたサッカークラブが、「オリジナル10」と呼ばれていることからわかるとおり、当初のチーム数は10。

 

そこから年数を経て、ワールドカップでは初出場・韓国との共同での主催・決勝トーナメント進出など、日本サッカーも進化を遂げた。

 

また、国内リーグにおいても、当初から大幅に変更されており、例えば当初は90分間で決着がつかなくても延長・PKまで行って勝敗をはっきりさせていた。

 

延長戦においても、どちらかのチームが相手ゴールのネットを揺らした時点で勝敗が決する「ゴールデンゴール」方式を採用していた(今はゴールが決まっても前後半15分ずつを戦う「シルバーゴール」方式)。

 

そして、Jリーグのクラブ数も、当初とは比較にならないくらいに増加した。

 

今や、トップはJ1からしたではJ3まであり、全国都道府県に当該カテゴリーにサッカークラブがないのは7県だけだ(福井県・滋賀県・三重県・和歌山県・奈良県・島根県・高知県)。

 

また、当該都道府県においても、J3リーグの下であるJFLやその下の地域リーグ、さらにその下の県リーグにサッカーチームはもちろん存在している。

 

そのチームが、今後Jリーグ入りを果たすことになれば、47都道府県全てにJリーグクラブが存在することになるかもしれない。

 

前置きが長くなったが、本著はJFL以下のチームが、何を目指してサッカーをしているのか、その真相に迫る書籍となっている。

 

何を目指してサッカーをしているのか、と言われると、当然将来のJリーグ入りを目指していると考えられがちだが、実際はそうではないチームも多い。

 

三菱水島FC(岡山県)においては、親会社である三菱自動車の都合(資金面・運用面)から、Jリーグ入りは目指していない。

 

本著での言及はないが、Honda FCは天皇杯でJ1クラブを打ち破るほどの強さを見せているものの、こちらも親会社の都合か、Jリーグ入りは表明していない。

 

Jリーグ加入のためには、観客動員数等の超えなければならないハードルも多く、一朝一夕で成るものではない。

 

そのため、親会社としては会社名を売る媒体があればよく、それがJリーグというプロのカテゴリーでなくても良いのだろう。

 

Jリーグのチーム名には企業名をつけてはならないという規則もあるようだし。

 

では、そいうったチームに所属する選手達は、何のためにサッカーをプレーしているのか。

 

もちろん、そういった契約で雇われている身であり、収入を得るために社業をサッカーを両立しているということはあるだろう。

 

ただそれ以上に、サッカーで上を目指したい選手にとっては、最大限上のカテゴリーでプレーできるチームがあるだけでありがたいのかもしれない。

 

最近は、下のカテゴリーで活躍したことで、上のカテゴリーのチームに引き抜かれる、「個人昇格」と呼ばれる事象が非常に多い。

 

そのため、アマチュアカテゴリーでプレーしていたとしても、そこで傑出したプレーを見せられれば、それがJリーグクラブのスカウトの目に留まり、オファーを貰える可能性はゼロではない。

 

その最たる例は、藤本憲明選手(神戸)だろう。

 

大学卒業後、JFLの佐川印刷SCでプレーしていたが、その後、鹿児島ユナイテッドFC(J3)⇒大分トリニータ(J2)⇒ヴィッセル神戸(J1)と、カテゴリーを右肩上がりにしてプレーしている。

 

現在JFLに所属しているチームでプレーしている選手にしても、同様に良いプレーを見せていれば、上のカテゴリーに「個人昇格」できる可能性は高い。

 

だがそれも、プレーできるチームがなければ実現はできない。

 

思うに、やはりそれだけ「プロサッカー選手」という言葉には夢があるのだと思う。

 

私も小学校低学年までは、浦和レッズの選手になりたいと夢見ていたし、サッカーを職業にするということには、それ自体に理屈では表現できない夢が詰まっていると思っている。

 

だから、例えアマチュアのカテゴリーであっても、上を目指してプレーする選手達には、最大限の尊敬と賛辞を贈りたい。