AIの開発が進み、家事や仕事に就くアンドロイドが日々モデルチェンジする近未来のイギリス南部の村。
弁護士として活躍する妻エイミーとは対照的に、親から譲り受けた家で漫然と過ごす34歳のベン。
そんな夫に妻は苛立ち夫婦は崩壊寸前。
ある朝、ベンは自宅の庭で壊れかけた旧型ロボットのタングを発見。
他のアンドロイドにはない「何か」をタングに感じたベンは、作り主を探そうと、アメリカへ。
中年ダメ男とぽんこつ男の子ロボットの珍道中が始まった…。
------------------------------------------以上あらすじ-----------------------------------------
この物語の肝は、何といってもタング。
タングは、高性能のアンドロイドがはびこる劇中においては、時代遅れとも捉えられかねない、いわゆる「昔ながらのロボット」。
ベンと出会った当初こそ、言葉も覚束ず、駄々をこね、空気を読まない、正しく幼稚園児の様な振る舞いを見せるが、タングの体内のシリンダーを直すために立ち上がったベンとの旅の中で、確実に成長していく。
言葉は流暢とまではいかないものの、それなりに意味の通る文章を話せるようになり、ある程度の分別を弁えるようになった。
さながら、自らが経験してきた子育てを彷彿とさせた。
また、タングは純粋な心しか持ち合わせていないようであり、何に対しても素直に表現をする。
ベンに対しては、「タング、ベン大好き」とストレートに愛情を表現するし、いやなことに対してははっきりと「やだ」と抵抗するし、自分の気に入ったものに対しては駄々をこねて買わせようとする。
それがまるで小さな子供の用で面白おかしく、ほっこりする。
本作のもう一つの見どころとしては、ベンの成長も挙げられる。
当初は、妻のエイミーのことをそもそもあまり理解しようとせず、離婚に至ってしまうが、タングと旅をするうちに、相手がどうすれば喜んでくれるのかを考えて行動できるようになり、最終的にも妻と再び共に住むようになった。
妻にも子供にも、何をしたら幸せに感じてもらえるか、理解してもらえるかを考えて行動すること、つまり家族のために自分の時間を使うことが円満の秘訣だ。
私の家庭が円満かはわからないが、個人的にはそう思っている。