また隙間時間を利用してちょこちょこと読書を開始。
最近は特に、レッズさんの観戦&ブログ更新意欲も沸かないので…笑
そんな訳で買ってみたのがコチラ。
多分、ネット広告で1回は目にした人もいるんじゃないかな。
雨穴氏の「変な家」。
ネット広告では断片的にホラー要素がありそう、ということ位しかわからなかったから、本腰を入れて読みたくなって購入。
1.登場人物(主要人物のみ)
- 著者 オカルト専門フリーライター。本作の語り手役。
- 栗原 大手建築事務所設計士。間取りについて専門家の視点から推理。
- 片淵柚希 奇妙な間取りの家について情報収集を行う。
- 片淵綾乃 柚希の姉。奇妙な家の住人。
- 片淵喜江 柚希の母。
超ざっくりとしたあらすじとしては、著者・栗原・片淵柚希の3名で奇妙な間取りの家について調査を行い、姉である綾乃の消息を探求。
真相に徐々に近づきつつあった折に、母である喜江から呼び出され、真実を母から聴く・・・という感じかな。
2.家系図
詳細は後々触れるが、本作は片淵家の歴史が原因で引き起こされた事件のため、簡単に家系図を作成。
青は片淵本家、赤は片淵分家を表す。
3.良い所
- ゾワゾワくる怖さ
- 間取りをテーマとしたホラー要素
間取りについて調査を進める内に、この家に得体の知れない恐怖が隠されているかもしれない…というゾワゾワとくる怖さを楽しめる。
窓がたくさんある家にも関わらず、子供部屋には窓がない。⇒子供を監禁している
不自然なスペースがある。⇒殺人のための仕組み
寝室から脱衣所が丸見えである。⇒監禁部屋の子供からの襲撃を警戒している
間取図が書かれていることから、読者も間取図とにらめっこして、どこがおかしいのか?と一緒になって考えることもできて楽しい。
また、間取をテーマとしたホラーというのは私が知る限りではなく、中々に斬新な着眼点なのではなかろうか。
上記の通り間取図が書かれているため、この家でどんなことが起こっていたのか…と想像する怖さというものがある。
4.悪い所
- 終盤のオカルトっぽさ
- 無理な設定
本作には殺人要素も含まれているけど、その元凶となっていたのが、片淵家に古来より伝わる「左手供養」なる儀式。
簡単に言えば、生まれてきた子供に左手がない場合、監禁したうえである程度成長したら片淵家分家(家系図赤色)の人間を殺害せい、というもの。
家系図では桃太と桃弥が左手のない子供に該当する。
ただ急に「左手供養」なる言葉がポンと出てきて、そのために片淵家の歴史を遡ることになるのだが…いかんせんオカルト要素はあまり触れたことがない人間なので。
事件の背景が昔からのしきたり、というのは少し残念な気も。
次に、それは無理があるのでは…??という設定がチラホラ。
左手供養のルールとして、左手のない子供には年齢が近い者が世話役になることが決められており、綾乃はそのために監視下に置かれる生活を送っていた。
綾乃の夫である慶太は、左手供養に従うつもりはなく、ある計画をもってそれを回避するつもりだったようなのだが。
それには、「自らは関与していない死体を用意する」ということが大前提としてあったようだ。
ただそれって相当に難しいような。
1回目の左手供養は、「たまたま」近所に突然死した人がおり、「たまたま」それを耳にし、「たまたま」家の鍵もかかっていなかったため死体を回収できたが、この奇跡に近い偶然が重なっていなかったらどうするつもりだったんだろう…。
また、時系列を確認する限り、慶太・綾乃夫婦は3回目までの左手供養を行っている(正確には行ったことにしている)。
となると、残り2回も何かしらの方法で死体を用意したことになるが、それは果たしてどうやったのか?
1回目では奇跡的に見つかったものの、残り2回の乗り切り方が謎のままである。
また、2006年に柚希の祖父の家で発生した、洋一の死亡事故(事件)について。
祖父の家も、奇妙な間取で作られていたのはまぁいいとして、一組のふすまが実は2組のふすまでした、も少々強引かなと。
内側から鍵がかけられていたとはいえ、片側のふすまを外から動かしたとき、一組のふすまであれば反対側も少なからずガタガタと動くくらいはするはず。
特に子供の時であればなおさら、家の中で遊びまわる時にそういった動きもするはずだ。
だがそれを無視して単純に騙されていた、というのはご都合主義がすぎないか。
ここら辺は少々荒い部分がある。
5.結末
最後に、結末について。
桃弥が慶太・綾乃夫婦の世話の甲斐あり、浩人の高熱の介抱をしていた、というのはホラー要素の中に一筋の心温まる要素として良い。
ただ、最後に慶太が重治・清次らを殺害した時期というのが既にかなり前という事実が、何を意味するのかがイマイチ理解できていない。
もしお分かりの方いらっしゃれば教えてください笑