基本情報
- タイトル:僕はつなぐ
- 発行日:2022年11月9日
- 出版社:株式会社KADOKAWA
- 著者:阿部 勇樹
内容
ジェフ千葉、浦和レッズ、プレミアリーグのレスターシティ、そして日本代表でも活躍した、阿部勇樹氏の自伝。
2022年をもって現役を引退し、現在は浦和レッズユースのコーチを務める。
オススメする人
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浦和レッズサポーター
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阿部勇樹氏が好きな人
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オシム氏が好きな人
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ペトロビッチ監督が好きな人(コンサドーレ札幌サポーター)
自伝では主に、阿部氏がレスターシティからレッズに復帰した2012年から、引退の2022年まで。
ジェフサポーターの方々には残念だが、ジェフ千葉時代のことはあまり顧みられない。
自身が従事した監督の中でも、オシム氏およびペトロビッチ監督については、受けた影響の大きさからか、本著における比重が多め。
特にオシム氏に関しては、その存在がプロサッカー選手としての自身を形作ったとも言えるような慕い具合。
オシム氏と出会った当時のこと、練習の厳しさ、それによる自身の成長等、多くのページを割いて、同氏のことを語っている。
大部分はレッズに関することだし、ペトロビッチ監督についても比重はかなり多め。
だけど、個人で最も掘り下げているのはオシム氏であるように思う。
感想
阿部氏が重視するものに、「一体感」というキーワードが挙げられている。
選手・監督・クラブスタッフ・サポーターといった、チームに関わる全てのも人々がひとつになること。
これが阿部氏の考える一体感。
レッズのサポーターいえば、ホームである埼玉スタジアムに集結し、ひとつになってチームを後押しする。
何万人もの声援は、苦しい時のチームの助けになってくれる。
全てのチームに一体感があったとして、レッズのそれは他のチームを凌駕すると思う。
なぜならば、レッズサポーターは日本国内において唯一無二の存在だから。
もちろん、声援とか声量とか、ビジュアルサポートとか、あくまでポジティブな面でね。
声援という面にフォーカスした時、プレーヤーとしてピッチに立ってみると、大声援を受けてプレーしたいという選手は多いのだろう。
ちなみに、これはあくまで自分自身の価値観として、仮に自分がプロサッカー選手だった場合、観客の多少や声援の大小が自身のチーム選択基準になるかと言われると、正直疑問は残る。
プレー中は周囲に気を配る余裕なんてなかった。
合間合間で応援は聞こえてきてはいたけど、それが糧になって一歩が踏み出せたとか、気力を振り絞れたとか、そんな美談はなかったかな…笑
まぁ、プロの受けるそれは、アマとは段違いなんだろうし、比較すること自体がナンセンスだね。
阿部氏の話に戻ろう。
阿部氏は常にレッズにポジティブな影響を与えられるように努めている。
故障を抱えた柴戸選手に天皇杯決勝に出場するように助言した。
柴戸選手が欠場となれば、現役生活最後の公式戦のピッチに立てた可能性が高いにもかかわらず、だ。
それは、柴戸選手の成長機会の逸失を危惧したための行動。
ゆくゆくはレッズを引っ張っていくであろう柴戸選手の、更なる成長を願っての行動(今シーズンは町田に期限付き移籍中だけど)。
また、今は浦和レッズユースのコーチを務め、将来トップチームで活躍する人財の育成に励んでいる。
ユースから将来有望な人財が多く輩出できれば、トップチームの底上げに繋がる。
また、それによりさらに有望な人財のスカウトができるようになり、長期的なチームの強化にもなる。
それは、レッズのためでもあるし、尊敬するオシム氏の背中を追いかけ、自身が受けた教えを後世に繋げていくため。
そのうち、阿部氏がどこかのチームで指揮をとり、数々のタイトルを獲得した姿を観る日がくるかもしれない。
それが浦和レッズであれば、最高だね。