今後友人と定期的に読書会(リモート)を開催しようということで、初回のはこちらの「福岡市を経営する」をテーマに。
こちらは現・福岡市長の高島宗一郎氏が手掛けた一冊。
当時、史上最年少の36歳で福岡市長に当選した高島氏による、仕事論・人生論に関する書籍。
結構最初から、面白いなーと思って読めたけど、理由としては、冒頭部分に高島氏が出馬することになった経緯や、出馬時の苦労、また市長当選後の苦労話が語られており、読者を引き込む要素があること。
政治といえば、といったような生々しいお金の話もあった。
また、具体的な数字を挙げて成果を主張しているところもわかりやすい。
書籍の帯に記載の通りだが、
①国際会議などの開催件数が全国の政令指定都市の中で1位
②クルーズ船の寄港回数が横浜を抜いて日本一
③スタートアップに力を入れ、4年連続で開業率7%台(全国唯一)
④政令指定都市で唯一、5年連続税収が過去最高を更新
⑤地価上昇率は東京都や大阪府のおよそ倍
⑥人口増加率も東京を抜いて1位
などなど、福岡市を客観的に表すにあたり、上記のように具体的な数字を挙げている。
また、東京や大阪といった恐らく財政が潤沢にあり、日本3大都市と呼ばれる都市を引き合いに出し、またそれ以上の数字を残しているとなれば、必然と「財政面では下でも成果を挙げている」と読者に理解させられ、非常に有効だ。
だから、まずその掴みの部分からこの書籍は成功しているといえる。
次に、本著から気になった文章や気づきとなった点を。
「全員をよくする」のではなく「全体をよくする」という言葉は、今の仕事とも相まって、結構グッときた。
私の今の仕事は、建物を管理することだが、その建物は大型なこともあり、非常に登場人物(=利害関係者)が多い。
故に、調整時には結構な労力を要する。
具体例を挙げれば、今は新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、喫煙室やリフレッシュルームを開放するのか閉鎖するのかという問題がある。
利用者の中には、「新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、閉鎖は当然だ」という賛成意見もあるし、逆に「喫煙室を閉鎖すると路上や近隣物件に喫煙者が溢れて迷惑になるから開けるべき」「リフレッシュルームを閉鎖すると食事の場所がなくて困る」という声もある。
なので、福岡市長という福岡市全体を見ており、様々な市民の意見を受ける高島氏の立場と、規模は全然違うものの、大型物件を管理している中で、様々な利用者の意見を受ける私の立場、という視点が似ていると感じた。
だから、今後の判断の基準として「全体をよくする」=「全体最適」という言葉を頭の片隅においておきたいと思う。
また、「才能」には限界があるが、「努力」は一番になれる、という言葉も印象的。
勿論、これまで読んできた書籍にも同様の言葉はあったから、新たな発見!というわけではないけれど、今一度大切なことを再確認した気持ち。
ラストには、「成功の反対は失敗ではない。成功の反対は挑戦しないことだ!」「幸せだから笑うんじゃない。笑うから幸せになるんだ!」という言葉も。
若くして福岡市長という、東名阪ではないが一大都市の長となった方の言葉だからこそ、私達のような、まだこれから、というビジネスマンにもよく響くのだろう。
最後に、私の会社は転勤族なので、これまで福岡市・広島市・名古屋市に在住経験があるが、こういった地方都市を題材とした書籍には、「住んでいたことがある」というだけで、結構肩入れし、熱を持って読んでしまうもの。
福岡市の地名が出てきた際に、鮮明にその場所が脳裏に思い起こされるのも、その場所に根を張っていた経験があったからというもの。
転勤族ということには賛否両論あるけれど、意外なところでそのメリットを再認識。