和製コルドバが追いかける、赤き血のイレブン達。

浦和レッズと読了書籍についてマイペースに。

【書籍レビュー】「遊牧民族・岡田氏の挑戦」群青の航海

f:id:zeniya47:20220212063352j:image

 

最近の私のガソリンとなっているものは、サッカー関連の書籍。

 

ここ最近は、高校・大学サッカーに関するメソッドについての書籍を購入していたが、今回はちょっと志向を変えてコチラ。

 

2022シーズンはJ3リーグを戦うFC今治は、2014年に元日本代表監督の岡田武史氏が就任後に地域リーグからJFLを経て、現在に至る。

 

それまでの荒波に揉まれた航海についての書きおこしとなる。

 

まず、この書籍はFC今治、そしてその代表である岡田武史氏にフォーカスした書籍となっている。

 

岡田武史氏は、言わずと知れた元日本代表監督。

 

1998年には「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれるW杯出場をかけた試合において、イラン代表相手に勝利を収めたことで、日本代表をW杯初出場に導く。

 

また、2010年南アフリカW杯でも監督として指揮を執り、前評判が低かった世論を良い意味で裏切り、予選を突破し決勝トーナメント進出を果たしている(結果は1回戦でパラグアイ代表相手に敗戦)。

 

また、クラブにおいても2003・2004シーズンは横浜F・マリノスを年間王者に導いており、名実ともに日本有数の指揮官だ。

 

一方、FC今治は愛媛県今治市を本拠地とするプロサッカークラブ。

 

ここについて、岡田氏と愛媛県や今治市との接点はほぼないとのこと。

 

なぜ、名伯楽と失礼ながら当時の地域リーグのクラブが結びついたのか。

 

これには岡田氏の想いに起因している。

 

まずサッカー面においては、「岡田メソッド」という型をFC今治というサッカーチームを通じて、発信していきたい様子。

 

日本サッカーは着実に進化し、今ではW杯出場が当たり前になり、決勝トーナメント進出も複数回果たしている。

 

それでもまだ世界との壁は厚い中で、日本人に合っており、世界に通用するメソッドについて、アカデミーからトップチームまでが共有しているクラブを作ること。

 

これが動機。

 

FC今治を選んだ理由は、既にある程度大きな規模のクラブであると、既にできあがっているものを1回壊さなければいけないため、1からチーム作りができるということが大きかった模様。

 

また、岡田氏の凄いところはサッカーのみに注力するのではなく、今治という街全体のことを考えているということ。

 

FC今治をサッカー強豪クラブにすることで、世界から人が集まり、街全体が活気づく様な目論みがあったり。

 

新スタジアム建設に関しても、それに付帯する施設を併設するすることで、人々がより満足し、かつそこの人々が繋がりを持つ仕組みを作る構想を持っていたり。

 

とにかく、岡田氏の語ることはスケールが大きい。

 

これは間違いなく、岡田氏の熱量によるもの。

 

これまでの実績から、チャレンジせず、無難に監督業を続ける道もあった中で、あえてクラブ経営という方向へ舵を切ったのには、岡田氏も自評で「遊牧民族」と語っているとおり、そこに留まることを良しとしないことであるからだろう。

 

FC今治の歴史氏とともに、岡田氏もチームと歩みを進めているが、その中で次々と構想をぶち上げるその姿勢は、実現性の有無は別にして、クラブの代表に相応しくみえる。

 

特にFC今治のサポーターではない私も、その構想にワクワクしてくるのだから、今治市民の方々は活気を注入されているんじゃないかな。

 

一方サッカーにおいては、地域リーグ⇒JFL⇒J3と順調にカテゴリーを上げているが、その道程は決して楽ではなかったようだ。

 

岡田氏のつてもあってか、山田卓也氏や市川大祐氏らの元日本代表選士を獲得したり、優秀なコーチ・スタッフを招聘したりしたものの、トントン拍子に昇格とはいかず、上のカテゴリー昇格には2~3年を要している。

 

また、昇格には観客動員数も大切になってくるため、スタッフもあの手この手の手法で観客をかき集めた。

 

ここも一筋縄ではいかない苦労が見えて面白かった。

 

著者も「元日本代表監督や元日本代表選手らがやってきて、手品のように一瞬でJリーグまで駆け上がったと思われては困る」と主張しており、岡田氏の力のみではなく、チーム一丸となったうえでの成長、昇格があったことを記しておきたい。