和製コルドバが追いかける、赤き血のイレブン達。

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【書籍レビュー】【ネタバレ有】「殺人犯も人の子」白夜行

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最近ミステリ小説ブームだったこともあり、評価が高かった白夜行を。

 

メルカリで買って届いた書籍を見た最初の感想は、分厚いなと笑

 

ページ数は特段見ずに買ったので、届いてから初めて物語の長さを認識。

 

当初は結構時間かかるなーこれ、と思ったんだけれど、読んでみるとあら不思議、スイスイと読み進めてしまい、ものの数日で読了してしまうほどの面白さ。

 

物語は、幼い頃に両親を亡くした亮司と雪穂を中心に展開。

 

彼らが両親を亡くす小学生時代から、最終的には30歳頃まで物語は進行するのだが、彼らに関わった人間は何かしらの不幸な結末を迎えていっている。

 

それにはこの2人が関与している可能性は高いものの、証拠を押さえきれず、彼らを長年追いかける元刑事は苦慮しているというもの。

 

物語では、亮司は殺人を犯している可能性が高いが、作中でその真相が明かされるものと明かされないものがあるため、純粋なミステリー小説ではない。

 

ただ彼らの関係が始まった発端の事件については、ラストでしっかり真相が示されている。

 

その事件が、この物語の根幹に関わる部分なので、そこが明確にされていれば、途中の事件の真相はなくても良いと思っている。

 

と言うのも、先ほど申し上げた通り、物語は彼らに関わった人達は不幸な目に遭うのだが、そこに至るまでの不気味さと言うか、ゾクゾク感が醍醐味だと思っている。

 

例えば、当初の事件に関連する写真を撮影して所有していた人物は、少女を暴行した疑いをかけられてしまうし、彼らの過去について、限りなく心臓に辿り着きつつあった探偵は、明確な描写はないが恐らく殺害されてしまった。

 

 だから読み進めていくうちに、映画の「エイリアン」みたいに、いつ彼らが事件に巻き込まれてしまうのか、怖くもあるが興味もある、いわゆる怖いもの見たさのような感覚になっていた。

 

それとプラスして、彼らは証拠はないものの、数々の事件を起こした本人であることは作中で示唆されており、本来は裁かれてしかるべきである。

 

とはいっても彼らにも人間味のあるシーンも描かれるシーンがあることから、必ずしも彼らを裁くべき、という気持ちにならない。

 

特に亮司は、成り行きとは言え、彼のビジネスに大いに貢献をし、長らく行動を共にした友彦については、少なからず大切に思っている節がある。

 

当初の事件で亮司は実父を誰かに殺害されて亡くすが、実は彼自身が殺害をしている。

 

亮司は作中であまり温かみのある面を見せないが、そんな彼も、友情が芽生えた相手には情が出るものなんだと切なくなった。

 

冒頭に記載の通り、かなり分厚い小説だが、そんなのも忘れるくらい速攻で読んでしまうので、ぜひおすすめの小説だ。